(二)-9
航行中、たびたび他の船とすれ違った。ジョージたちが進む方角から、または同じ方角から大中小の輸送船、輸送船団や軍艦、さらには民間旅客船やクルーザーなどとすれ違い、追い越されていった。
そうしていくうちに火星の軌道上を通り過ぎた。火星の姿は見えなかったが、後から来たシュン・ボンバルディアたちの船「エドモントン号」に抜かれることになった。
「ジョージ、まだこんなところにいたのか」
シュンの声で無線が入った。近づいてきたおかげで無線が入るようになったのだ。
「お前たちも行くんだろう」
「まあな」
ジョージがやや不機嫌そうにそう言うと、「あったりめーだ」とシッコは大きな声で続けた。
(続く)
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