魔術師と剣のひらめき ー前日譚ー 

てぃ

・設定説明・その他

・「一部設定の説明」

※作中では常識なので言及されない事をここで説明しています。



・「暦と日時」

昼間に光輝く太陽とはの別称であり、夜を統べる月はの別称である。

太陽が昇り、日の出と共に朝となり、太陽が沈んで日の入りすると夜になる。

春から夏まで日中は長くなり、夏を迎えて最も長く。夏の盛りから秋を経て、

冬に至ると日中は最も短くなる。


月には30日周期の満ち欠けがある。新月から満ちて十五夜で満月となり、

その日から月末に向けて欠けてゆく。


ひと月は30日。かつて1年は360日だった。


何時いつからか、人々の間で完全なる安息日を制定しようとする機運が高まる。12月に31日が設けられ、続く1月1日も同様にしようと考えられ、代替えとして31日が設けられた。続いて真夏の7月と8月、最後に5月にも31日目が設けられた。


現在、1年は365日である。それによって、月齢と日付は必ずしも一致していない。


神々から人類に下賜かしされた、正確な時を計る砂金さきん銀砂ぎんさの砂時計。これにより、

"1分"と"1時間"という単位が生まれた。"1分"をきざむ金の砂時計で1時間を計って

みたところ、およそ60分であると推定された。


"1秒"という単位がどのように生まれたかは定かではない。数を数えるのに心臓の

拍動はくどうを利用した、それを学者が便宜上べんぎじょう、名付けた単位がそのまま定着した──と

いう説がまことしやかにささやかれてはいる。1分は約60秒である。


銀の砂時計で1日を計ってみたところ、約24時間であると推定された。

よって現在、ひと月は約720時間、1年は約8760時間である。


最後に。物語の正暦せいれきは現時点で1334年である。

「百年以上前に戦争が終わった」と作中で語られるが、休戦協定が結ばれたのは

正暦1192年12月31日。正暦以前の歴史は纏まった記録がない。それ以前の歴史は

暗黒暦と呼ばれ、史料も無い事はないが年代の特定すら一苦労……というのが

現状だった。



・「通貨と価値」


※通貨の呼び方

銅貨=ブロンズ 銀貨=シルバー 金貨=ゴールド 


・銅貨1枚で駄菓子が一つ買える。

・銅貨には穴の開いた"50枚銅貨"がある。


銅貨100枚で銀貨1枚分となり、同様に銀貨100枚で金貨1枚と同等の価値になる。



紙幣しへいは存在する。使用されているのは一部の国の国営賭博場のみ。

硬貨を両替して賭博に使用する。紙幣=チップ。

国内賭博場に併設されている施設に限り、紙幣での会計が出来る所もある。


冒険者報酬で渡されるのは銀貨が主流。最低賃金は一仕事につき、一人頭、

銀貨100枚。依頼人は銀貨50枚から(閂の国スフリンクの場合)、冒険者協会に依頼できる。

但し、審査有り。報酬の不足分は国からの補助金でまかなう。国にもよるが、

基本的に




・「その他の単位」

この世界には長さや重さなどに国家の枠組みを越えて普及した規格、単位というもの

が存在しない。理由として単位の命名は提唱者の姓名、或いはその一部が採用される

原則があるからである。これは学者にとってであり、それを巡って

政治的な暗闘が繰り広げられた歴史があり、現在まで抜本的な解決策が見出されて

いないからだ。




・「作中に登場するカタカナ語の単語・言語」

これらの語源は一部の狭量な魔法使いが自分の魔術を他人に盗まれぬように暗号的に使用し始めた「魔法使いのマジック・造語ワード」、もしくは学者が熱に浮かされたように思いついた

奇妙なストレンジ・造語ワード」の、どちらかに由来する。※(ごく一部は遊戯ゲームの専門用語など)


また、は地方によってなまりはあるが国家間、海を隔てた大陸間、亜人を含めた種族間、全て問題なく共通の言葉で会話し、意志疎通が成立している。


しかし、最近は物語や吟遊詩人の語り由来の新語(旧来の造語を組み合わせたものや言葉をもじったもの、新たな含みをもたせたもの)が乱造され始めており、どうにもそれが無視出来ない環境にもなってきている。




・「冒険者とは?」※(一部設定を前作「天性の魔術師」より流用)


*


 ……魔孔まこう※(魔物モンスターの発生源)から誕生した魔物は日数を経ると体内に不純物を

生成する生態があり、それは強力な個体ほど生成や成長が早い。


 そして、生成される物質の中には金銀宝石やその他鉱物、時には純度の高い

も見つかるという。

 すると、それを狙って魔物を専門に狩ろうとする者達が現れた。


 ──が『冒険者』である。


 探究者、討伐者など初期から色々な呼び名があったが近年は冒険者と呼称が

統一され、それに伴って細分化していた役割も統合。にされ、魔孔の

探査と討伐を同時にになう事になった。


 そのせいで、冒険者という職業の評判はあまりかんばしくない。


 何故なら彼ら冒険者はその生業なりわいの宿命上、魔物等の拠点である魔孔を目敏めざと

見つける事はあっても地域の人々の為に閉じようとは思わないからだ。むしろ

存在を隠し、あわよくば拡張しようと画策する。


 ──何故、そのような事を? 決まっている、からだ。冒険者達は

慈善事業者ではない。そのような欲の亡者が後を絶たず、それでは世間から

冷ややかな目で見られるのも仕方ない。


 ……だが、そのような一部のやからの横行が目に余るといって白眼視はくがんしするのも

また、いささか軽率であると言えた。



 何故ならば、使──元来、人類とは世界に

奉仕する為、産み落とされた存在である。努々ゆめゆめ忘れてはならない。


 日々の生活とは、人々の営みとは、神々に許された余暇よかに過ぎない。

 それは本道ではないのだ。


 冒険者という役割こそ、人類に課せられた義務なのである。

 それがままならぬ者達は彼らを後援する事で代替えとする。


 ""の一つとしても推奨されていた。






・「魔法とは何か?」※(一部設定を前作「天性の魔術師」より流用及び変更)


*


「……その実態は術者の想念と意志の発露、は魔力などと言い換えられる

精神の形。から生み出し、もしくはそのものを変化させて、神の奇跡

の模倣を行う。それこそが魔術──俗に『魔法』と呼ばれるものの正体だ」


は想念と意志の力、奇跡を顕現する根源……だったね』


 それは今や、使文言。

 起源は魔術の神秘を暴く為に開示された"魔法のアンロック・合言葉キーワード"だった──


『魔法とは意志と想念、二つが混ざり合って生まれた力……によって人為的に

起こす奇跡の総称だ』


 ──そもそも何の為にが必要なのか? 


「魔術や魔法の発現は己の想念と意志の発露、即ち魔力によって行われる。呪文の

詠唱とは自身への想像力の補強だ。逆に言えば修練を重ねて熟達すれば口数は減り、

終局的には言葉すら不要になる」


 ──未熟だから詠唱は必要なのか?


「そうでもあり、そうでもない。何故ならば魔力とは想念だけでなく、意志の力も

深く関わっている。そう、がだ」


 時と場合によっては、敢えて呪文を詠唱する事も有り得るということ──

 利便性だけでは片付けられない心の力、魔力は精神力にも左右される。


「だから、ここぞという時は呪文を唱えるんだ。それで間違いない」



*




<本編に続く>

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