筋肉(パワー)ーッ!

伽藍青花

第1話 ゴリ押し

 放課後の教室に、筋骨隆々な男の子と、いかにも友人キャラのような男の子が、話をしていました。

「えっ! お前、マナちゃんのこと好きなの!?」

「あまり大きい声出すな。廊下まで聞こえたらどうする」

「ああ、ごめん。まさか学校一美少女と言われる、マナちゃんのことが好きなんて、お前も意外と普通の男なんだなー。……いや、体はそこらの男より男なんだが」

「いやー、そんなに褒められても……。というか意外と、ってなんだ意外とって」

「貶してはないけど、筋肉を褒めたわけでもねぇよ。まあ、堅物な奴だと思っていたからな。お前がマナちゃんと付き合いたいとはな」

「いや、今は交際の話で、相撲の話はしてないのだが」

「誰も相撲の突き練習の話はしてねぇよ。……で、脈はありそうなの?」

「え? そりゃあ、生きてるんだから脈くらいはあるだろう。俺はネクロフィリアじゃないぞ」

「なんで、そっちのことは知ってるんだよ。向こうはお前のこと好きなのかどうか聞いてるんだよ」

「あぁ。そこまでは分からないな」

「そうだよな。うーん……チョコレートを渡すとか? ホワイトデーが近いし、胃袋をつかむのって効果的らしいからな」

「だから、俺はネクロフィリアじゃねえよ」

「物理的な話じゃないってば! なんでお前はそういう話になるんだよ」

「うむ……チョコレートか。プロテインでも入れるか」

「脳筋の考えは捨てろ」

「いや、女子たちは甘いものだと太る心配をするだろう」

「だからってプロテインはねぇよ。……いや、美味かったら有りなのか?」

 それから、しばらく二人は相談しました。

「お前に相談して、勇気がわいてきた。チョコレートを渡すときに好意を伝えてみる。ありがとう」

「おう。まあ、頑張れよ」


 後日、彼はチョコレートを渡し、クラスメイトの前で何度も何度も告白をした結果、マナちゃんが折れて、付き合うことになりました。

「結局、ごり押しかよ!」

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筋肉(パワー)ーッ! 伽藍青花 @Garam_Ram

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