第6話 

 片方は黙っているか、静かに勉強したり軽く話し合っていたが、もう片方はスマホのカラオケアプリで熱唱したり腕相撲をしたりと温度差が激しかった。


 「クラス目標が団結力のあるクラスって・・・この温度差でそれは絶対違うだろ」


 あまりにもツッコミどころにある目標に言葉溢れる。

 

 「山口、なんか運動できそうな人いる?」

 「うーん・・・あそこのサイドテールの女子いるでしょ、あの人は足を見た感じ陸上系だと思うよ」


 おお、感ではなくそんなことまで気づけるのか。とてつもない洞察力だな・・・どこかのスカウター男の顔が頭をよぎる。


 「おいおい〜、山口くん。君いいスカウター持ってるねぇ」


 噂をすれば、工藤が山口に近寄る。


 「スカウター?なんのことだ?」

 「ああ、女子を観察するときの目のこと・・・だろう」


 実際何かはわからんが、聞くのも面倒くさいので聞いていない。

 俺は工藤と一緒にクラスの女子を自慢のスカウターで観察していると後ろから気配を感じ取り、振り向く。


 「うわあ!」

 

 そこには柊が立っており、なんでこいつは驚いてるんだと言わんばかりの顔でこちらを見ていた。


 「あー?こんにちは?ここへ何の用で?」

 「別に敬語はいらない」

 「わかった。で、何のためにここに来たの」

 「隣のクラスを確認しておきたかっただけだ」


 ふと視線を感じると思い、今度は工藤達の自分のクラスに向くと、全員が驚愕の顔でこちらを見ていた。

 すると工藤が声を振るわせ質問してくる。


 「な、何で君は柊さんと普通に会話ができるのだい?」


 側から見ると変な文だが、俺は重大なことに気づく。

 嫌な予感がした。ここには脳筋であり俺と柊の過去を知っている人物、山口がいる。急いで山口をこの場から引き離そうとしたが、もう手遅れだった。


 「あー、知らないのか。咲灯と柊は幼馴染なんだよ」





    まずいな。

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俺の想像していたラブコメという概念が今崩れようとしている。 寿司侍 @Sushikara

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