第2話 魔法とは

駆使して生き残れとは…



どう使うのか、全く分からないのだが?



うーん…とボードを眺めて数分


俺は閃いた



スキルの使い方…創造スキルを鑑定眼で調べれば良いんじゃね?



俺、頭良い!



そうと決まれば早速実行だ


あ、なんか鑑定する迄もなく普通に開いたわ



うわ……なんか恥ずかし…



創造スキルを開くイメージを浮かべたらステータス画面が消え、代わりにボードには凄い数のcoming soonの文字が並んでいた


そしてボード上部には大きく魔法一覧と書かれている



「ふむ…」



端をみると右矢印があり、触れたり次のページへ、と念じれば画面がスライドして違うページへと飛ぶ


上部には順番に調合、鍛冶、建築その他と書かれていた


なるほど、分かりやすい


確かに昔やっていたサバイバルアクションゲームのクリエイト画面によく似ている気がした



最初の魔法一覧の画面に戻ると


よく見たらcoming soonの文字に被さるように薄らとLv1と表記されている



覚える為に必要なLvか何かか?



それならLv1でも覚えられる魔法があるという事だ


ありがたい


Lv1と書かれた文字を上から下に視線を動かすと、下級魔法を一括で作成しますか?と表示された


はい、と念じるとcoming soonの文字が消えていく


便利だな?



--下級魔法--

光闇

--------


以上



…え、普通は技名とかが出るんじゃないのか?



属性しか書いてないんだけど??



ちょ、誰か!


取説持ってきて!?



普段取説なんてほぼ読まないけど、命がかかっている今ならちゃんと読むから!


あと、こういうファンタジー世界に必須の毒耐性とか精神耐性とかないのか?


中級からなのか…それとも実体験しないと耐性付かないとか?



いやいや、それはヤバいだろ



あるかは分からないが、魅了とかの精神魔法をかけられて、頭がパラッパッパーになってるうちに操られて奴隷落ちとかなりそう



ひぃっ…



でも今は子供の姿だから、そんな魔法なんてかけられなくても簡単に拉致されそうだ…


とりあえずジャングル内は安地らしいからそういう技を使う魔物の心配はいらないし、村から30キロも離れているからすぐにどうこうされるとかはないだろう


たぶん



その後、属性を鑑定したが何も起こらず


太陽を見上げたらそろそろ昼


お腹も空いてきたし、喉も乾いてきた


衣…は今着ているものがまだ綺麗だから良いとして、命を繋ぐ食べ物と飲水を先に見つけた方が良いのではなかろうか?


ジャングルに向き直り、辺りを確かめるように歩を進める



つーっと、嫌な汗が背中を流れる



シレンの言う通り、俺は確かに精神面はだいぶ強いのだろうと思う


こんな記憶もないうえに誰もいない状況なのに絶望していないし、冷静とまではいかないがパニックを起こしてもいない


だがやはり、命の危機なのでは?と感じると、鼓動が少し早くなって焦りが出てきてはいるようだ



大丈夫だ、落ちつけ…



「ふぅ…」


この不安を払拭する為に、とりあえず俺は下級スキルを歩きながら試す事にした


今は立ち止まっている時間すら惜しいからな


ああでも無いこうでも無いとボード画面を見ながら歩いていたら、いつの間にか結構な距離を歩いていたみたいで元いた場所に戻ってきていた



これだけ歩くと喉が渇く…



「水…水が欲しい」



すると、どういう事か…



目の前の草が消え去り、風呂桶ぐらいの量の水が地面から湧き出るように出現した


誰がこんなとこに水をぶちまけたんだ?とかボケたりしない



いや、だって明らかにやったの俺だろ…?



周り見回しても俺しかいないんだし


なんだ…つまりあれか


難しく考えず、口に出せば魔法が使えるのか?


出した水は残念ながら土に吸い込まれるようにして消えてしまったが、それなら…



両手をお茶碗型に差し出して言ってみる



「ここに水が少しだけ欲しい」



さっきみたいな風呂桶位の水が出たら全身がびしょ濡れになりそうなので、少しと付け加える



すると、どうだろう



手の中に木の器が出現し、その器の中から水が湧き出し始めた


そう、言葉通り湧き出したのだ


チョロチョロと器の中から零れ始めた水を慌てて1口飲む



「美味い…!」



あとは一心不乱に、ゴクゴクと喉を鳴らして飲み干した


器の中で湧いていた水は、気づいたら止まっていた



「もしかして、魔法の発動条件は言葉じゃなくてイメージか…?」



難しい事は分からないが、零さずに手のひらいっぱいの水を飲みたいと考えたから、木の器と水が出たのではなかろうか


うん

あとで要検証だ



魔法はイメージ



これが分かればあとは簡単だった


念じると、手の平から小さな火を出したり、親指大の小石を出現させる事が出来た


ふむふむと、ステータスのMPを見ながら次々と検証していく


不思議な事に、どれだけ火の大きさや火力を上げてもMPは1しか減らなかった


水も同じく、手の平サイズだろうが風呂桶サイズだろうが減るのは1


下級魔法は全てMPが1しか減らないという事なのだろうか?


しかも、減ったMPはすぐ満タンになった


たぶんMPが1回復するのに1秒もかかっていない



何コレどういう仕組み??




ジャングルと魔法を調べ終わった頃には、日がだいぶ傾いて来ていた


どうやらジャングルは寝ていた場所が中心地で、直径1キロの円状になっているようだ

川も無く、自生する果物などは見つからなかった



え、それだと餓死しそうだって?



ところがどっこい


スキルを使いまくればLvが上がるかなと、鑑定を乱用しまくっていたらな


あのド派手なトカゲがまた足元を歩いてたんだよね


よーく見たら、木の上とか根元とかそこら中にゴロゴロといるわいるわ…


それで気になって鑑定眼をかけてみたらさ


----

トカゲ(食用)

----



トカゲお前…食用なのか…



その見た目から毒持ちかと勝手に思い込んでいたのだが、見た目で人を判断しちゃダメだな


人じゃないけど



すっと、指を前に差し出す


本当に申し訳ないトカゲ君、君の事は忘れない…


では死ね



バシュッ!!



指から目に見えない刃物の様な風が生まれ、超速でトカゲの首目掛けて飛ぶ


スパーン!とトカゲの首が切れて、頭が胴体から離れてぶっ飛んだ


グロい


しっかし…慈悲もクソもないな俺


まあ腹が減ってるから仕方ないんだけど


ちなみに今の技は、銭ゲバのファイティングゲームを参考にして生み出した


技名?


スラッシュとかで良いんじゃね?


一々技名とか言わないからそこは適当だ



空気は見えないからスキルを発動しても相手に気づかれにくいし、逃げられることが無いうえ指を前に出すだけだから使い勝手も良い

しかも首チョンパした獲物を逆さにしとけば血抜きも出来て一石二鳥


マジ便利だな


それと、解体は新しく覚えたコレで出来た


----

収納Lv∞

----


歩いてる時に光闇魔法をいじくってたらなんか出てきたんだ


いや、∞てなに?

カンストしてるって意味だと勝手に捉えてるけど合ってるのか?


このスキルは、収納したいなと思った物を、触ったり取りに行ったりしなくても勝手に異次元に収納してくれる


試しに目の前の巨木を収納してみたら、てっぺんの青々とした葉っぱから、地面に埋まっているはずの根っこまで、丸ごと一気に収納された


傍から見ると木が急に消えた様に見えただろう


木の上で寝ていたトカゲ達が、急に足場が無くなった事により、ボタボタと上から落っこちてきて地面にぶつかって痙攣している


すまん…


とりあえず痙攣しているトカゲにもとどめを刺して、木に吊るしておいた



そうそう、解体の話な



血抜きしたトカゲを収納して、ボードから収納スキルを開いてみるとあら不思議


トカゲのアイコンが表示され、解体しますか?と文字が出る


勿論、はいを押す


すると数秒で皮と肉と骨に分けられて出てきた


とりあえずやってはいるが、これならもしかして血抜きは必要無いんじゃなかろうか?


同じ要領で、巨木も葉や木材や繊維、藁などに分けられる


わけがわからないよ


まぁ楽だから良いけど


収納内の時間は止まっているようで、肉が腐ることも無さそうだし


「収納、便利すぎるな…」


あとトカゲを収納する時に分かったが、生きている物は入れられないみたいだった




トカゲを吊るしていた地面がグロ注意な見た目だったので、一応血液も収納しておいた


血の匂いが充満する中で飯なんか食べれないしな


適当に拾った石と乾燥した木の枝で焚き火を作り、水で綺麗に洗った石を火の近くに置く


この石の上で肉を焼くのだ


ルンルン気分で肉を収納スキルから用意しておいた葉の上に2匹分出してみた


子供の体ならこれぐらいで充分だろ


「白身なのか」


スンスンと匂いを嗅ぐ


うん、ほぼ無臭


充分焼けた石に肉を乗せて、焼けるまで待つ


「塩欲しいなー、出来ればハーブソルト」


あれ、鶏肉にかけたりオムレツに混ぜると美味いんだよなぁ



しかし、無いものは無い



「明日鑑定眼を使って、そこら辺にあるか探すか」


石にあたる面の色が変わったのでひっくり返すと、肉の焼ける良い香りが漂う


トカゲは鶏肉に近い味なんだっけ?


「鶏肉が1番好きなんだよなー」



いかん、腹がすき過ぎてヨダレが…



威力を抑えたスラッシュで肉を小さめに切って、中が焼けたか枝で作った箸で確認


生焼けで当たるとか怖いしな


「よしよし、いけるな

いただきまーす!」


もぐもぐ


もぐもぐもぐもぐ…


「うっ…わ…ぅ」


体が震える


美味くて感動している訳では無い


あまりの不味さに、体が拒否反応を起こしているんだ


「まっずぃ…!

え、なにこれ不味い!

食べられるって書いてたのに!?」


人は本当に不味いものを食べると鳥肌が立つんだ


いま知ったわ


出来れば知りたくなかったが…



え、味?



なんか変に苦くて、焼けているのに生臭い


血抜きした意味とは…!?


それに鼻の奥の方で鶏糞みたいな匂いのやつが居座っている


しかも筋っぽくて全く噛みきれない


だが腹が減っているので、無理やり水で流して飲み込んだ


「うぇっ…」



どうしよう、コレ



見た目は美味そうなのに味がヤバい


塩云々で解決出来る問題じゃねぇ


でもこのジャングルには今のところ、コレしか食べ物がない


コレを食べないと俺が死ぬ


「ふぅ…」


鼻をつまみ、匂いを遮断して次々と口に放り込み飲み込む


口で息をしながら水を飲み、食べ終わってすぐにうがいをした


とりあえず空腹は治まったが、こんな飯が毎日毎食続くのでは?と考えてしまうと身体が拒否反応を示した



絶対イヤだ!



明日、別の物を鑑定眼で探す?



そんな悠長な事言わず、今すぐ探すに変更で!!



寝て起きて、明日の朝もコレを食べなきゃいけないなんて考えたら俺は生きる気力を失いそうだ


食事を終えた頃には既に日が落ちていたので、光魔法で指先にライトを灯して鑑定眼で辺りを散策する


「何か、食べられる物…」



ピロンッ



頭の中で電子音が響いた


ボードを確認すると、

鑑定眼がLv2になって他のステータスも見れるようになっていた


------

【名前】無し

【種族】異世界人(弱体化)

【年齢】0歳


Lv.1


HP:7(弱体化)

MP:500

SP:500

力:10(弱体化)

魔力:****

素早さ:10(弱体化)

命中:100

運:100


特殊スキル

鑑定眼Lv2/5

創造Lv1/4


------


魔力どうした…?


え、魔力の数字なにコレ


エラー?バグ?



「あ、HPが2増えてる」



食事を取ったからなのか、HPが少しだけ増えていた


でもあんなに我慢して食べたのに2しか増えないのか…涙が出てくる


とりあえず、鑑定眼がLv2に上がったのでもう一度辺りを調べてみる


すると、今まで【雑草】表記だった草の種類が分かるようになっていた



ちょ、臭み消しのハーブはあるか!?

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