第161話 3年生の悩み

「なっ……」


顔を潰されたホブゴブリンは、そのままその場から消えて無くなった。

三上さんの絶妙なタイミングでの必殺の一撃だ。


「三上さん、ナイス!」

「私だって普通のホブゴブリンくらいだったらね」


岸田が目の前の状況に混乱したのか、唖然とした表情で動きが止まっている。

完全に目の前しか見えてなかったし逆にホブゴブリンの注意を一身に受けてくれていたという事でもあるし、結果としては良かった。

これで残るは1匹になったけど、それももう終わりそうだ。

ちょうど3年生がとどめをさすのが見えた。


「ふ〜終わったな」

「御門、そういうフラグっぽいのは無しだから」

「そんなつもりは無いんだけど」


ホブゴブリンの特殊個体が現れた事でもうそういうのは十分だ。

三上さんの言葉が気になり窓の外に神経を張り巡らせてみるけど、何もなさそうだ。

どうやら本当にこれで終わったらしい。

最後のホブゴブリンにとどめをさした3年生も、気が抜けたのか床に腰を下ろして話こんでいる。


「いや〜疲れた〜。今回は流石に身の危険を感じたな〜」

「ホブゴブリンやばいな」

「こんなの1人じゃ無理だよ〜」

「卒業後が心配だよな」

「こんな世の中だし大学行って、大学のスクールセイバーやるのもアリだよな〜」

「1人でやってくより安全だよな」

「生徒数もっと多いだろうし、セイバーの数も多いんじゃないか〜? 在籍セイバー数とか公表してないのかな。どうせなら多いとこ受けてみようかな〜。セイバー推薦とかあるといいのに」

「学校によっては優遇措置あるんじゃないか? 偏差値も大事だけど、セイバー数も大事だよな」


3年生はこれから進路の事もあるし大変だな。

今は強くなるのが優先事項だけど、来年には俺も考えないといけないのか。

それにしてもホブゴブリンの特殊個体は強かった。

俺もそれなりに場数は踏んできてるつもりだけど、1人じゃまだ対応しきれない程の強さだった。

何度か特殊個体と思われるモンスターと戦った事はあるけど、そのどれもが例外なく強かった。

今回はホブゴブリンの特殊個体だったのでどうにか出来たけど、それはモンスターの中では弱い部類にはいるゴブリン種だったからだ。

根拠はないけど特殊個体も素体の強さに比例して、その強さを増しているような気がする。


「御門くん、お疲れ様」

「神楽坂さん、大前たちは?」

「病院には行った方がいいと思うけど、意識も戻ってるし大丈夫だと思う」

「そうか。よかった」


神楽坂さんの『ヒーリング]の効果もあり大前たちも大丈夫そうでよかった。

ただ大前はちょっと紙装甲っぽいし、至近距離から攻撃するならもう少し鍛えた方がいい気がする。



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