第120話 愚者の衣
『愚者の衣』
スマホにはそう表示されている。
うん、全くわからない。
衣とあるのでやっぱり身につける物だとは思うけど、『愚者の衣』の表示。
ストレージ保管した物にはスマホ上に品物名が表示される。
あくまでも簡易的にではあるが、『ガチャ』+はラノベて言うところの鑑定的な機能を発揮している。
表示されるのは品物名だけなので、それがどういう物なのかは推察するしかないけど、毒があったりとかそんな感じのやつは表示である程度わかる。
魔石以外がドロップする事は殆どないので、今まで活躍した事は皆無だった機能だ。
今更感はあるけど散々見せてしまったので岡島には戻ってくる間に俺のスキルの事は話してしまった。
「御門どうだった?」
「ああ、やっぱり服っぽいけど『愚者の衣』だって」
「またすごい名前だな。愚者って。呪われそうな気もするけど愚者か〜」
「御門くん、タロットとかだと愚者は自由を表したりもするから一概に悪いともいえないかもしれないよ」
「そうなんだ。神楽坂さんタロット占いとかするの?」
「ううん、少し興味があったりしたから」
「あぁ……そうなんだ」
ヤバい。ダンジョンから抜けるのに集中していたせいで忘れてたけど俺、神楽坂さんと……。
いや、アレは戦闘時の……。
神楽坂さんは、普通だよな。
柔らかかったなぁ。
「御門? 調子が戻らないか? 大丈夫か?」
「大丈夫だ。調子は戻ってないけど、ここまで来ればな」
変態チックなことばかり思い浮かぶが、家に帰るまでは気を抜いちゃダメだ。
それに『愚者の衣』。一階層ではイレギュラーと思えるモンスターのドロップだし、そもそも魔石以外のドロップが出る事は本当に稀なので、それなりに希少な可能性もある。
布っぽいし、動きの妨げにはならなそうだし、防御力が上がるようなアイテムなら使った方がいい。
「神楽坂さんか、三上さんのどちらかが使ってみるのがいいと思うけど、どうかな」
「え!? 御門、それって『愚者の衣』のこと言ってる?」
「もちろんそうだけど」
「うん私はパスで」
「わたしもちょっといいかな」
「そうなのか」
二人とも軽装備だし、身体を護れるならいいアイテムかもしれないと思ったのに反応は良くない。
だとすれば、俺が使ってみるしかないか。
今日はこのままストレージに入れておいて明日使ってみよう。
一応事務所に情報がないか確認だけはしておこうと思う。
「あ! あああああぁ!」
「なんだよ岡島。急に大声上げて」
「い、いや、それが、ステータス! 俺のスマホにステータスが!」
「おおっ、マジか! やったな!」
「おおおおおおおおぉ〜!」
「俺にレベルが! やった! やったぞ〜!! もうダメかと思ってたんだ! 御門、神楽坂さん、三上さん、本当にありがとう。三人のおかげだ。うおおおおおおぉ〜!」
今日一日全くステータスが生える気配のなかった岡島だが、最後の最後、あのイレギュラー達との戦いが良かったのかもしれない。
そもそも今日の目的は岡島にステータスを生やす事だったし、目的を達せすることができたので大成功と言えるな。
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