第119話『ガチャ』の新機能

「御門、立てる?」

「あ、ああ。ごめん脚に力が入らないかも」

「このまま、ここにいるのは良くないと思う。またモンスターが出ないとも限らないし」


三上さんの言う通りだ。

鎮静化したとはいえここはダンジョンだ。

ゆっくりしてる場合じゃないけど、本気で立てない。

極度の筋肉疲労というか身体が重くて動かすのが辛い。


「御門、肩かすぞ。ほらっ」

「悪いな」


岡島に手を引かれて、何とか立ち上がるが脚に力が入らないのでそのまま肩をかりてその場を後にする。


「御門、ヤバかったけどすごかったな。ダンジョンって半端ない」

「ああ、ヤバかった」

「あれってネクロマンサーってやつかな」

「ネクロマンサー?」

「ああ、だってアレが骨を呼び出してたんだとしたらネクロマンサーとかじゃないか?」


ネクロマンサーは俺でもわかる。

死霊とかを喚び出すモンスターだ。

ただ、俺がネクロマンサーを知っているのはゲームとかアニメの中の話で現実世界で知っていたわけじゃない。

だけど、そう言われてみれば半骨半肉のあのモンスターはネクロマンサーだったのかもしれない。

スケルトンのだけじゃなくてあの巨大な拳骨まで喚び出していたし只者ではなかったと思う。

情けない事に、ダンジョンにいる間に俺の状態が上向くことは無く地上に出るまでずっと岡嶋に肩を借りたままだったが、運良く帰りはモンスターほとんど出現する事はなかったので何とか帰還することができた。

なぜか、あの場のスケルトン達が魔石をドロップする事はなかったが、あのネクロマンサーと思しきモンスターはアイテムをドロップした。

それも魔石ではないものをドロップした。


「これ、ドロップだよな」

「あのモンスターが着てたのじゃない?」

「落としたんじゃ無くてドロップで出たんだよな」

「う〜んどうかな〜」


ネクロマンサーらしきモンスターが消失した跡には薄汚れたように見えるグレー色の布?が残されていた。

正確には汚れてはいないが、モンスターのイメージからかグレー色のせいか薄汚れているように見えてしまう。

そして、その布はかなり大判なのでおそらくはあのモンスターがそうしていたように羽織る物な気がする。


「ちょっと見てみるよ」


俺は、岡島に支えてもらいながらスマホのカメラでグレー色の布を撮って画像をタップする。

『ガチャ』に+の表示が出てからストレージ機能が加わったが、色々使っているうちにストレージ機能以外に二つの機能が備わっている事に気がついた。

ひとつはストレージ機能の拡張機能的なものではあるが、『ガチャ』の景品以外の物も限定的にではあるがストレージに保存する事が可能となっていた。

生き物はダメだし、景品以外は大きさにも制限があったりするみたいだけどスマホで写真を撮ってタップすればストレージ保管が可能だ。

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