第97話 ユニークレア

ファイアブランド


なんだこれ?

ファイアはわかるけどブランドってなんだ?

期待に胸を膨らませて引いたユニークレアガチャの景品が何かわからない。

取り出して突然発火したりすると危ないので慎重を期してスマホでファイアブランドと入力して検索してみる。


「松明?」


検索にヒットした内容を幾つか見てみるが、ファイアブランドとはどうやら松明のことらしい。

松明か……。

正直懐中電灯等の文明の利器がある現代において松明の有用性は低い。

しかし、なぜ松明?

URガチャの景品が普通の松明であるとは考えにくい。

だとすれば特別な松明。

もしかしてオリンピックのアレか?

松明なら出してみても大丈夫だよな。

完全なる興味本位でスマホに表示されている松明の文字をタップする。


「あれ?」


オリンピックのアレか何かが出るとばかり思っていた俺の前に現れたのは一振りの立派な剣だった。


「え!? 松明じゃなく剣?」


どこからどうみても松明には見えないので、今回当たったファイアブランドは松明のことではなくこの剣のことだったらしい。

俺は現れた剣を手にしてみる。

普段使用している刀と比べてかなりの重量感がある。

ずっしりとした重みと肉厚なその刀身。いや刀じゃ無いから剣身か?

そしてその剣身にはあまり見たことのない外国風の文字がびっしりと刻まれているが、元々銀色をしていた剣身が手に持ち構えた瞬間僅かにオレンジっぽい色を帯びた。

一言で言うなら中二感溢れるというか、普通にカッコいい。

雷刃はミノタウロスの一撃で曲がってしまったが、この肉厚の剣ならもしかしたら凌げたかもしれない。

ただ当然のようにこの剣は両手持ちなので二刀流とはいかない。

スピード偏重型の俺にとっては不向きとも思えるが、3階層に敵を倒すには威力が欲しいのも事実だ。

家の中なので手に持つファイアブランドを軽く振ってみる。


「うわっ!」


軽く振った剣身が突然炎を纏った。

雷刃は敵に電撃を付与したが、この剣は剣自体に炎を付与するらしい。

この炎はモンスターにも有効だろうしかなりイイ。

ただひとつ心配な事がある。

振ると発現する炎は俺を含めた味方をも害するんじゃないのか?

特にこれを手にして振る俺はかなりの高確率で火傷を負うんじゃないかと心配になってしまった。

まあ、広いところで思いっきり振ってみないとわからない事なので、とりあえずストレージへと戻す事にして、後日ダンジョンで試してみる事にする。

いずれにしても魔法剣っぽいしかなりイイ賞品には違いない。

やはりURはかなり期待できる。

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