第82話 3階層への階段


「みんなどうする?」

「私はいいと思うけど」

「私はもう少しレベルアップしてからの方がいい気がする」

「私はどちらでも」

「お兄ちゃんが決めれば?」


ペースアップした俺たちのパーティはなんと3階層への階段まで到達してしまった。

してしまったという言い方はおかしいが、もう少し先のことだと思っていたので少々驚いてしまっている自分がいる。

子泣き爺さん達はこの先で戦っているのだと思うが、あの人たちは人数が違う。

指標がないので自分たちが3階層に挑んでいいものか判断がつかない。

確かにここまでは来れた。

ただゲームと違って、ここまで来れた人間が3階層に近いステータスを持っているとは言い切れない。

女の子4人の命も預かっている。

やっぱりやめた方がいいかな。

2階層のときもみんなレベルアップしてから挑んだ。

だけどレベルアップしやすいと思われる俺でも、2階層ではレベル11に達していない。

おそらくは、経験値的な物が2階層のモンスターだけでは足りなくなってきている。


「お兄ちゃん、優柔不断は嫌われるよ」

「う〜ん」


そうは言っても責任重大だ。そう簡単に決断できない。

あ〜こんな時INTが高いと最適な決断ができるのだろうか?

そうだとしたら自分のステータスが恨めしい。

そういえばどうしても気になって向日葵に今のINTを聞いてみると15だそうだ。

INTは他のステータスほど顕著には伸びていないとのことだったが俺の5倍。

伸びていなくて俺の5倍……。

わかっていた事なのでショックはなかった。

一応念のために三上さんにも聞いてみたら三上さんのINTは20だった。

三上さんお話によると学校の授業の理解度が明らかに変わったとのことで、それはINT10を超えたあたりから顕著になったとのことだ。

なんてうらやましい話だ。

俺は結構真面目に授業を受けてる方だと思うけど、高校2年生の内容はかなり難解だ。

こういうのを知的チートとでも呼べばいいのか?

ある意味戦闘力的ステータスが上がるよりもずっと有用だ。

INT20はINT 3・0の6、いや7倍賢いのか?

いやあくまでも数値の表示だから単純に6〜7倍賢いってことではないだろう。

それなら受験勉強なんかしなくても望みの大学に進学できてしまう。

まあ、その頃に世の中がどうなっているかは誰にもわからないけど。

うん神楽坂さんは聞かなくてもいいな。

元々優秀だった彼女の今のINTを聞くだけ無駄だ。

全く参考になる気がしない。

そう、それよりも今はこの階段だ。

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