第73話 撮影会

俺の心配をよそに野本さんがフェアリーを撮り始めると、他のセイバー達も加わり即席の撮影会が始まってしまった。

フェアリーは何も言わないし言ってもわからないが、嫌な素振りもなく撮られているので問題はないのだろう。

そしてなぜか光っている俺まで被写体となってしまっていた。


無事撮影会は終わったが俺はやっぱり発光したままで、目の前のフェアリーの今後の取り扱いもどうしていいかわからず、困っていると


「ጸላኢ ዝጠፍአ ይመስል እሞ ንሎሚ ክምኽነየላ እየ።」


またフェアリーが理解不能の言葉を発し、そしてその場から消えてしまった。


「消えた?」


それと同時に、俺を覆っていた発光も消え去った。

俺は慌ててスマホを確認するが、賞品の欄にあったフェアリーの表示は消えて無くなっていた。


「消えたね」

「ああ、消えた。なに話してるのかは全くわからなかったけどとにかく助かった」


それからしばらくの間なにか起こらないか待ってみたけど、それ以上は何も起こらなかった。


「終わった〜」


これで本当の意味でホッとできる。

どうやらあの発光現象は一時的に力を得る事ができたが、過剰に負荷がかかるのか全身がだるい。

でも本当に全部終わったらしい。

みんなが力を発揮してどうにか撃退する事ができた。

レベル9になってダンジョンでもそこそこやれてていたので、それなりに強くなった気でいたが、全くダメだった。

ガーゴイルは強かった。

あの赤茶色のガーゴイルは更に強かった。

最後、フェアリーの助けがなければどうなっていたかわからない。

本当にギリギリだった。

まだまだ足りなかった。


「御門、ありがとう」

「え? なにが?」

「なにがって、結局ガーゴイル倒してくれたの御門でしょ」

「ああ……」

「なにその反応、もしかして自分はまだまだとかって思ってたりする?」

「いや、まあ」

「御門がまだまだだったら、私も他の人もまだまだまだまだだって。御門がいたからみんな無事なんだからね!」

「そうかな」

「そうよ、ねえ舞歌」

「うん、御門くんがいるから私も頑張れたんだよ。最初は怖くて身体が動かなかったけど、御門くんが戦ってる姿を見て私も頑張らなきゃって」

「そう? いや〜そんな事ないと思うけどな〜」


自分の力不足に結構落ち込み気味だったけど、三上さんと神楽坂さんが励ましてくれたおかげで気分が上がってきた。

今回そうであったように、強力なモンスター相手に1人じゃ無理だ。

みんなで強くならなくちゃダメだ。

三上さん、神楽坂さん、それに向日葵と一緒に頑張ろう。


「いて〜なくそっ。まだ身体がいて〜。俺が倒す予定だったのに御門も余計なことしてくれたもんだぜ。まあ俺のファイアボールでかなり弱ってたとは思うがな」

「先輩……」

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