第72話 終わった?

どうにか赤茶色のガーゴイルを倒しきった。

もう無理だ。まさか次はないよな。

みんなが満身創痍と言える状況。

いや、大前は比較的普通か?

それと俺はまだ光っているからかなぜか疲労感は薄い。

そう考えるともうちょっとならいけるか?

ガーゴイルはやはりゴブリンと比較にならないほどに強かった。

しかも後からやってきた赤茶色のガーゴイル、いったいなんだったんだ?

大きいだけじゃなく強さも明らかに一段上だった。

格上。

そう表現するしかない相手だったがどうにか倒す事ができた。

俺と大前以外は満身創痍ではあるがみんな無事。

生きている。

ある意味それだけでも俺たちの勝ちだ。

みんな、モンスターがいなくなってその場へと腰を下ろしてはいるが、その視線は1箇所.

いや2箇所に集中していた。


「御門、それって本物?」

「たぶん」

「もしかして妖精だよね? 初めて見た」


三上さん、俺だって初めて見たよ。ほとんどの人が見るのは初めてだと思う。


「御門、お前のスキル召喚だったのか! マジかよ! マジで召喚士っているのか! それならそうと言えよ!」

「い、いや、ち、ちが」

「その光ってるのは、その妖精の力かよ! かっけ〜な」

「目立ちすぎてターゲットにされそうだな」

「大前……」


岸田がうるさいのと大前はこの状況でも平常運転だ。


「ከምቲ ካብ ዋና ትጽቢት ዝግበረሉ። ንዓኻ ምሕጋዝ ክብሪ እዩ።」


「おおっ、なんか喋ったぞ。すげ〜.すげ〜よ.妖精さん」

「御門はなんて言ってるのか理解できるの?」

「いや、全くわからない」

「そうなの!? それじゃあどうやってコミュニケーションとるの?」

「俺が聞きたいくらいだよ」

「それは、そうとこの子どうするつもり? このままずっといる感じ?」

「いや、それはまずい気がする」


こんなリアル妖精さんがずっといて、いい事が起こるイメージは全く湧かない。

最悪、捕まって解剖とかもありえる気がする。

そうだ。ガチャのストレージに戻せばいいんだ。

俺は、急いでスマホをポケットから取り出しての表示をタップしてみる。


「あれ?」


スマホの画面をいくらタップしても妖精さんが消える様子はない。

もしかしてURガチャの賞品は戻せないのか?

いや、生き物が戻せないのか?

どちらかわからないけど、とにかく戻せない。


「先輩、写真撮ってもいいですか?」

「え? 俺の?」

「いえ、その子の」

「あ、ああ.別にいいけど……」


やばい。

掲示板に召喚士のネタがあったけど、召喚したモンスターとかがその後どうなったのかは触れていなかった気がする。

もしかして、召喚って一方通行なのか?

よく異世界転生で戻れないとか設定があるけど、それと同じでよんだら戻せない!?

まずい。

しかもこの妖精さん、言葉が全く通じないので、どうしようもない。

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