第64話

3年生の先輩2人が1年生チームへと加わってくれたので俺は2年生チームへと加わるために走る。


「岸田! 俺も入るぞ」

「おお、俺の邪魔はするなよ」

「どの口が……」

「御門、ガーゴイルって全然強いんだけど」

「三上さんは援護して」

「まかせてよ」


書き込みでチームレベル10は必要とあったが、おそらくその見積もりは甘い。

実際にもう一度戦ってみてわかったが体感15近くは必要なんじゃないか。

それほどにガーゴイルは手強い。

ただレベル9の俺が前に立つことで一気に戦況がこちらへと傾く。


『アイスフィスト』


『ファイアボール』


『ウィンドブラスト』


後方から三上さんたちの攻撃でガーゴイルの動きは完全に封じてくれてくれている。

先程1人で突っ込んだ時とは全く違う。

ガーゴイルに向け刀を振るう。


「ギャギャギョ〜アアア」


「倒れろ! いやああああああああ〜!」


必死でガーゴイルの身体に向け刀を振るい6度目の斬撃を放った直後、ガーゴイルはその場へと倒れた。


「御門、やったね」

「ああ、倒せてよかった」

「はん、ほとんど俺のおかげだろ。俺のファイアボールでほぼ決まってたぞ」

「……」


誰も反応しないがもう岸田は放っておこう。

3匹目のガーゴイルも問題はなさそうだ。

3年生2人が加わった事で手数と火力が増え、このまま倒せそうだ。


「御門くん、今治すね。『ヒール』」


神楽坂さんがスキルを使ってくれたおかげで身体の痛みが徐々に薄らいでいく。


「神楽坂さん、ありがとう.助かったよ」


直撃は避けたけど、ガーゴイルの一撃は想像以上に強烈だった。危なかったけど、どうにかこのまま終わる事ができそうなのでよかった。


「ギヨギョギョギョヨヨ〜〜!」


戦いの最中、覚悟を決めたのかガーゴイルが一際大きな声をあげた。


「末期の叫びってやつか? まさか逃げたりしないよな。いや、だけどガーゴイルこの人数でかかってやっとか」

「後で襲ってこられても面倒だからここでしとめる」

「先輩方、気を抜かずにいきますよ。『ゲルセニウムバイト』」


野本さんの棘がガーゴイルの動きを完全に抑え込み、残りの4人が一斉にガーゴイルめがけてスキルを発動した。


「流石にこれで決まっただろ」

「おいおい、フラグっぽいからやめとけって」

「大丈夫だって、ほら見ろよ。倒せたみたいだぜ」


集中砲火を浴びたガーゴイルは、変な心配をよそにそのまま消失した。


「倒せた〜俺もうスキル残ってない。ギリギリだった〜。ヤバかった〜」

「俺も。先輩たちいなかったらヤバかった〜」

「まあ、美味しいところはもらったし、終わりよければ全てよしじゃね」

「これで俺もガーゴイルスレイヤーか。就職に有利になるかも」

「いや、お前就職するの? 卒業してもセイバーでいいんじゃね。ガーゴイルスレイヤーでいけるでしょ」

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