第62話 ガーゴイル再び

「三上さん、いける?」

「もちろん」

「野本さんもいけるな」

「はい」

「くそがっ、なんでガーゴイルなんだよ。やるしかねえのか。おい大前、撃ち落とせよ」

「いや、まだ早い。前と同じになる」

「くそ、くそ、くそ。やってやるやってやるぞ!」


岸田が煩く騒いではいるが腹は決まったようだ。


「おい、これ使え」

「あ? 武器なら持ってるぞ」

「いや、こっちの方がいい。使え。大前もな」

「ああ」


俺はストックしてある武器を取り出して、その場のメンバーへと配る。


「お前何本持ってんだよ。それにこの剣普通の剣じゃねえのか?」

「まあ、ちょっと特別製だ」

「前からお前の武器、切れ過ぎるとは思ってたがスキルか.まあいい。これでちょっとはいけるだろ」

「岸田、おしゃべりはそこまでだ.来るぞ」


ガーゴイルは、武器を構えた俺たちを認識したのか3匹ともが俺たちのいる場所へと向かってきた。

久々に見るガーゴイルはやはりゴブリンとは格が違って見える。

こっちは、神楽坂さんを除くと7人。

以前書き込みにガーゴイルと戦うにはチームレベル10以上とあった。

それを信じるなら今の俺のレベルは9。

手に持つ地刃利と蝦蟇斬りの性能を考えるとギリギリ1匹は相手取る事は可能なはずだ。

残りの6人でガーゴイル2匹。

三上さんのレベルは6。残りのメンバーの正確なレベルは不明だが平均3あればトータルレベルは適正の20を超える。

いける。

いや多分いける。


「俺が1番左の奴を受け持つ。後の2匹をみんなで頼む」

「御門気をつけてね」

「おい、正気か? あれを1人でやる気か?」

「ああ、やるしかないだろ」

「くそっ。御門、普段と違って戦いの時だけやけにカッコ良いじゃねえか」

「余計な事言ってないで集中しろ」


「ガアアアアアアアア〜」


ガーゴイルがこちらを向き吠えた。

空気が震えるような錯覚を覚え、一瞬身体の筋肉は収縮しかけるが気合いを入れて走る。


「うおおおおお〜」

「ガアアアアアアアアア〜」


俺の気合いを打ち消すようにガーゴイルの咆哮が更に響き、交戦状態へと突入した。

背中の翼ををはばたかせガーゴイルがこちらへと向かってくる。

一気に距離が詰まり、眼前にガーゴイルが迫る。

速い!

前回戦った時より明らかに速い。

前回戦った奴は、3人がかりでダメージを積み重ねていたし翼にもダメージがあった。

今回のガーゴイルは無傷。

前回のイメージが頭に残っていた俺はガーゴイルのスピードを追い切れなかった。

咄嗟に手に持つ二刀を身体の前へと十字に滑り込ます。


「がはあっ」


どうにか直撃は避けたが、ステータスで強化されたはずの俺の身体は、あっさりとボールのように弾き飛ばされてしまった。

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