第4話 2回目は

それから5分以上かけ俺がおかしくなったのではない事を必死で説明した。

二人共半信半疑といった感じだが、スキルがまた使えるようになったら目の前で使ってみせるということで一応おさまった。


「そういえば今日学校でお兄ちゃんみたいに、スキルが使えるようになったって騒いでた人がいた気がする。学年が違うからよく知らないけど、なんか騒ぎになってたかも」

「それって、俺と同じでもしかしてスキルに目覚めたのかもしれないな。俺も突然だったし」

「まさか集団催眠ってことはないよね」

「まだ疑ってるのか? 集団催眠って絶対そんなの無理でしょ。後で書き込みとか見てみろよ。結構同じような人いるみたいだから」


まあ冷静になって考えると、急に家族がスキルを使えるようになったと、現物も無く騒いですんなり信じられるものではない。

ちょっとテンションが上がりすぎて、興奮していたのかもしれない。

自分の部屋に戻ってからもずっとスマホ画面を眺めていたが結局寝るまで変化することはなかった。


俺は翌朝目を覚ますと同時に速攻で画面を開く。


「おおおおおお〜! やっぱり思った通りだ! 1日に1回だったんだ!」


画面には再び『ガチャ1』の文字が表示されていた。

最悪2度と使えないことも考えていたので、再び1の文字が表示されたことが何よりも嬉しい。

俺は急いでリビングへと向かい家族を呼び集めた。


「御門、本当にやるの?」

「昨日そういったろ」

「御門、冗談じゃないんだな」

「当たり前だろ。父さんもしっかり見といてくれよ。それじゃあいくよ」


俺は再びスマホ画面の『ガチャ1』をタップする。


「食べものだけじゃないのか……」

「お兄ちゃん、どうなったの?」

「あ、ああ、一応できた。それじゃあ今から出すよ」


俺が画面の獲得物の欄をタップすると、目の前には赤いフライパンが現れた。


「……フライパン?」

「うん、そうみたいだね」

「うそ……本当に現れたよ」

「マジック…‥じゃないよな」

「いや、俺こんな大きなフライパン出せないから」

「じゃあ本当に魔法が使えるよになったのか」

「魔法っていうかスキルね」

「そうなのか。だけどこれってなんの役に立つんだ? フライパン出すだけなのか? 売れるくらいいっぱい出せたりするのか?」

「いや、1日1回だけ」

「………そうか。まあ不思議なこともあるもんだな」

「ああ」


この超常現象を前に家族の反応は思いの外鈍い。

やはりフライパンっていうのがよくなかったかもしれない。

超上質フライパンとか見分けつかないから、食べ物の方がこれの凄さがわかりやすかったかもしれない。

ただ、パンの次がフライパンだったので完全にランダムなのかそれとも食事つながりなのかいまいちわからないので明日以降に検証も含めて期待したいところだ。


そうして俺のスキル生活二日目はあっさりと終了したが、世の中はそうではなかった。

俺同様にスキルを発現した人が日本だけでは無く世界中で現れたらしく、ネットを皮切りにライブ映像として

世界中この不思議なスキルの話題があっという間に世間を席巻することとなった。

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