絶望の淵にいた俺を救ったのは、職場の後輩でした

天風 繋

1. 絶望の果てに

俺は、生きる気力を失った。

3年前、幸せな結婚をして2人の娘を授かって・・・。

でも、今日離婚が成立した。

娘たちと生活したのは半年もない。

この3年で変わったこと。

両親が他界して、俺に残ったものは実家しかない。

離婚したことで俺は、天涯孤独になった。

兄弟はなく、親しい友人もいない。

俺には、もうなにもない。

心にぽっかりと穴が開いたようだ。

もう何もやる気がわかない。

もう無理だ。


俺は、それから1週間仕事を休んだ。

そして、飲むことも食べることも動くこともせずにいた。

いや、もう死んでもいいと思った。

走馬灯が過る。

楽しかった思い出。

悲しかった思い出。

いろんな思い出が零れ落ちていく。

俺の生から。

意識が遠のいていく。

ごめん、父さん。

ごめん、母さん。

すぐそっちにいくよ。

梨花、紫亜。愛していたよ。

パパ、もう限界なんだ。

二人にもう会えないから。

そして、俺は眠りについた。


俺は、その後病院のベッドで目覚めることになる。

死ねなかったのだ。

俺を救ったのは、今年新卒で入社した俺の仕事の後輩。

あまりにも呼び鈴を鳴らしても出ないから胸騒ぎがしたのでガラスをバッドで割って入って救急車呼んだと言われた。

元々ソフトボールをしていたらしい。

いや、そんな情報はいらん。

ガラスは弁償する。

僕は、朧げな意識の中よくしゃべる後輩の言葉をなんとなく聞いては。

再び眠りについた。

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