㊸ 書けなくなる日

 突然書けなくなる。必ずそんな日が来る。それが意識の問題によるのか、身体的な障害によるのかは解らないけれど…書くのが面倒くさくなって次第に創作から離れる…なんていう残念な未来に最後はなってしまうのか…

 覚悟は既にできてる。この年になると…人は自然、日々衰えていくものだから…頭の中が真っ白になって遂にはイメージが形にならない。想像の全ての力が尽き果てて歯車がゆっくりと止まる。微かな風に揺れている蝋燭が燃え尽きて途絶えるように…

 書けるうちに書いておこうと思っているうちはまだなんとかなっているんだろうなあ…いつかきっとそんな日が来て、書きたいと思いながらあがいても言葉にならず、言いたい事がひとつも形にならなくて、それでもきっと書きたいと言う思いは失わなれないまま心の中に漂うのだろうか…

 それが辛い事か、想像する楽しみだけでも残っているのが嬉しいのかは今の自分には解らないけれど…

 書くことが好きということは何度も繰り返し確認出来てきた。子供の頃から書くことだけは不思議とちゃんと続けてきた。誰に言われるわけでもない。今更良い文章を書きたいとか、当たりたいとか、受けたいとかは思わないけれど、広く誰にでも読んでいただける文章が書きたい。

 読んでいて飽きない文章が書きたい。思わず笑みがこぼれてしまう文章が書きたい。私は未だそれが出来ていないのだから…

 送ってきた人生が暗いせいでか腹から笑える文章は一生書けないのかもしれない。願いは有っても結局のところ出来ていないのだ。

 全てを昇華して美しい言葉を紡ぎ出す事が出来ていない。それを思うと、まだ、もう少しやれるのかもしれない、と思う。やりたい事が出来てないんだから。

 抱腹絶倒のコミカルな話を書いてみたい。書けるだけの経験もしてみたい。それを目指してやってみるのも良いですね。書けるかな、私に、そんな話…

 

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