㊴ 告解

私は自分の作品を読んで泣いてしまうのです。

どんなに未熟でどんなに実力のない作品でも、自分の作品は真っ直ぐに心に響いてしまうのです。

何度も読み返し、何度も書き直し、完成まで程遠くても、これ以上ふさわしい言葉が導き出せなくても、崇高な物を感じてしまうのです。

自分の分身だから…褒めてやったことのない自分だから…

表現することが下手な私は、文章でしか顕わせない感情や思いに助けられて生きている。きっとこれがなかったら私は死んでしまいたいと今より思うだろう…

待つこと耐えること悲しむこと後悔、全てが詰まった言葉の数々。

公開していながら…作品の発表の場を求めていながら、反面、無くても良いのかも知れないと…読者はたったひとり、私だけでいいのかも知れない…と思う…

そんな思いが涙とともに溢れる。

こんなに心を打つのに、こんなに思いをつぎ込んでいるのに、と恩着せがましく書いてみても、お前、誰に言ってんだって…

私じゃないんだから誰も理解なんて出来るはずもない。この焦燥感や当たり前だと思う感情や誰にも負けない自己愛は私だけのものだから…

自己愛の塊なんだ。これ全て…今更気づいてしまうけど…

長年一緒に生きてきた証だからね。

私は私とともに生きる。その設計図であり、反省文であり、告解なのだから…

スーツケースいっぱいの原稿用紙を携えて故郷に帰った宮沢賢治を思い描くのです。

孤独な人だと思っていた。そう思うことで、自分と似ているって思いたかった。

でも、『銀河鉄道の父』を鑑賞して、ああ、幸せな人だったんだ。と少し裏切られ…

人は案外幸せなんだと気持ちを落ち着かせ…

自分のことだけ心配して、突き放しながらも抱きしめてやりたくて、後ろ姿を見るのが嫌で、いつまでも彷徨っていたい願望をむき出しにして生きている。

厄介だろうな私なんかと生きていて、周りの人に懺悔します。

ほんとに私なんかが生きていて、ほんとに申し訳ないと思うのです。




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