番外編 勝手に妬かさるんだよ

湊の料理をご馳走になって、絵理とパブロはその帰路についた。

もうあたりはすっかり暗くなっていた。

2人は並んでゆっくり歩いていた。


「湊の作ったオムライス、美味しかったな」

パブロはしみじみと言った。

「ね。私のオムライスとはホント雲泥の差だったわ…」

「だな」

絵理はパブロを叩いた。


「…絵理と湊」

「ん?」

「仲いいよね」

「そうかな?」

「楽しそうでいいよね」

「そう?」

「そうでしょ」

「…え。あれ…?」

絵理は、パブロを指さした。

「何だよ」

「仲間外れだと思ってるの?」

「お前、バカか…」

「嘘だよ」

「ぐっ、腹立つなぁ」


絵理がパブロの顔を覗き込んだ。

「…なんだよ…」

絵理はクスクス笑った。

「もう…、何?」

「パブロ、好きだよ」

「…ホントかなぁ」 

パブロは、絵理を横目で見た。

絵理はパブロの手を繋いで、体をくっつけた。

「あー、こうしてるの幸せ」

「そうだね。…絵理」

「ん?」

「俺達ずっと一緒にいるよね?」

「あははっ。ずっと一緒にいたいよ」

「だよね」

「パブロは、私の人生に絶対必要な人だから」

「ホントかなぁ」

「私も、パブロの人生で、必要な人になりたい」

「…なってるよ…」

「良かった。じゃ、変な理屈つけて、離れて行かないで」

「変な理屈?」

「私が湊を好きなのかも…とか」

「そこまでは、思ってないけど…」

「そう?」

「ちょっとは思ったけど」

「あははっ」

絵理は、パブロの手をさらに強く握った。

「大好き」

「知ってるけど」

「世界で一番なのは?」

「知ってる」

「あははっ。じゃぁ、信じてよ」

「信じてるよ」

「ん?じゃ、何でそんな…」

「知らね。勝手に、妬かさるんだよ」

「ふ~ん」

絵理はパブロを見てニヤニヤした。

「腹立つ…」

「嬉しい」

「はぁ、バカらしくなってきた」


パブロは、そう言うと、絵理にキスをした。

「外…」

「もう夜だよ」

「だめ」

パブロはまたキスをした。 

絵理は次は受け入れた。


「もう…、外だって」

絵理はゆっくり唇を離しながら言った。

「ふ~ん」

パブロは、またキスしようとした。

「だから外」


「家ならいい?」

「孝司いるよ?」

「別にいいんじゃない?」

「思春期だよ」

「自分だってやる事やってるんだから…」

絵理はパブロを思い切り叩いた。






※ 絵理とパブロの馴れ初めは


『彼は魔法使いで意地悪で好きな人』


に描かれています!

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