筋トレ系Vtuberとコラボ配信 3

 あかりさんとの打ち合わせの時間は午後2時からだ。僕とせりは、朝から打ち合わせのための準備をしていた。と言っても、ほとんどは部屋の片付けだ。通話アプリで話すと言っても、カメラをつけることになれば、必然的に部屋が映る。せりと話し合った結果、リビングを使うことにした。せりの部屋は、僕をあんまり入れたくないらしい。

「地下室でいいじゃん。」

 僕は普段配信してる地下室を提案した。

「あかりちゃんに、筋肉バカだと思われるじゃん。」

「筋トレ系Vtuberならいいじゃん。よく知らないけど。」

「知っててよー!てか、やだよ。筋トレは好きだけど、最初は可愛く見られたいじゃん。」

「あー。確かに筋トレは、可愛くはないね。」

「あ゛?」

 今までで最恐の声でせりが言う。自分で言ったじゃん!

「……ごめんなさい。」

「他の人に言われるのは嫌!特にたっちゃんに言われるのは嫌!」

「あー、わかったよ。ごめん、せり。」

 まだ少し起こっているせりを、なだめながら話し合った結果、「リビングでいいじゃん!」となった。


 そんな安易に決めた結果どうなったのか。

 結論から言うと、ちょー大変だった。もともと、パソコンがおいてない部屋に、その置き場を作るところからはじめたのだ。そのために部屋のレイアウトを少し変えたのだ。机を動かし、LANケーブルが届く位置まで動かした。そして、パソコンをセッティングした。結局、そんなこんなで、2時ぎりぎりまで掛かってしまった。

 僕たちは、慌ててパソコンの前にスタンバった。そして、パソコンを起動して、アプリを立ち上げた。チャットルームに接続すると、まだ誰もいない。あかりさんからチャットがきてないか確認するが、なにも来ていない。

「とりあえず、待ってみよっか。」

「そーだね。」

 時間ピッタリになった。

 

 2分後。

 5分後。

 10分後。


 あかりさんはまだ来ない。

「来ないねー。」

「そうだね。」

「ちょっと電話してみようか。」

「……そうだね。」

 せりは少し不安そうだが、手元のケータイから電話を掛けようとする。

「ごっめんなさーい!!!」

 せりが画面の操作をしていたところ、パソコンのスピーカーから、女の子の圧倒的にカワイイ声がする。

「遅れてごめんなさーい!さっき起きたとこなんです!朝まで、配信用の作業してまして……。」

 矢継ぎ早に自分の話をしていくあかりさん?にせりと僕は、呆気にとられていた。これが、一流配信者の力量なのかと思った。てか、この声、地声なのか。

「あの、月見セリです。」

「あー、ごめんなさい。焔あかりです!」

 せりが口を開く。こうして、30分遅れて打ち合わせが始まった。

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