筋トレ系Vtuberとゲーム配信 1

「じゃっじゃーん!たっちゃん、これな~んだ?」

 ある日の夕食後。せりが、僕の目の前でそこそこ大きな箱を差し出す。

「なに、これ?新しいトレーニング器具とか?」

 どうせ、せりのことだから、我が家を自分好みに変えていこうとしてるんだろう。まぁ、地下室か、せりの部屋ならいいんだけど……。

「ぶっぶーー。残念でした~。」

 せりがニヤニヤと笑う。

「じゃあなにさ?」

「正解は〜。ドゥルルル……デン!『激辛、フィットネスゲーム8本セット』でした~。」

「ゲキカラ?」

「のんのん。げきつらだよ。」

 せりは、わざとらしく、大げさに指をふる。

「なにそれ、めっちゃ不穏なんだけど……。」

「配信でやろうと思って買ったのー。」

「どんなゲーム入ってるの?」

「色々あるみたいだけど、よくわかんない。」

「まじか。」

 僕は少し呆れながら言う。そして、こっからの展開は、なんとなく予想できる。

「ノリで買ったからねー。まぁ取り敢えずやってみよう!」

「えーーー。……ツラいんでしょ?」

「たぶん?」

「じゃあやだよー。」

「まぁまぁ、そう言わずに。ほら!いくよ!」



 結局、僕はせりの強引さに押し切られて地下室に来てしまった。そして、今僕一人でゲームの設定をしてるとこだ。

「着替えてくるから、設定よろしくー!」

 その一言を置いて、せりは手伝おうともせず、地下室をあとにした。そうして、僕はの小間使いをしながら待つことになったのだ。


 結局、ゲームの設定は早々に終わった。

「終わったよー。」とせりにメッセージを入れる。

「ちょっと待ってて。」

「すぐいくから!」

「一緒にシよ!」

 こんなメッセージが届く。

 

 ……ゲームの話だよな。


 5分くらい経っただろうか。感覚では、1時間くらいな気がする。

 新しいメッセージが届いていないかアプリを開く。さっきのメッセージが一番下にある。それを見直すことになり、僕は悶々としたまま、せりを待つことになった。

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