15 Mako.side



生活の中に、真さんを探しながら生きる日々は、孤独で、そして、確かに幸せだった。


圭くんが笑顔でいてくれるだけで、幸せだった。




このまま行けば、僕は、マコを捨てたことを後悔せずに生きていける。


あの夜の、あの一瞬までは、本当にそう信じていた。











その日は、いつもと同じ穏やかな日だった。


夢で見た圭くんと真さんの日々そのもので、圭くんの笑顔も、きっと生きていた頃に真さんが見ていた笑顔と、同じだったと思う。




ただ一つ、僕にとって想定外のことがあった。




僕が真さんに成り代わることを決意した日から数日、圭くんは僕の思い通り、自分の中のマコの存在を消していった。


僕を、マコではなく真さんと呼んで、話し方や接し方も、少し変わったように感じた。




それは僕にとって、とても嬉しいことで、マコだった頃とは違う圭くんとの生活に最初は戸惑ったけど、今ではそれを心地良く感じるまでになった。






でも、頭を撫でてくれる時、手を繋いでくれる時、抱き締めてくれる時、圭くんの瞳の奥に見える感情に、僕は気づいてしまった。






そうだ…そうだった。


マコと真さんの決定的な違いは、この瞳の奥の感情だ。






それは、僕がとても欲しかったもので、だけど手に入らないはずだったもので、真さんには、当たり前のように向けられていたもの。






この感情を受けるには、まだ、もう少し時間が欲しかった。


まだ、覚悟が足りなかった。






真さんに成り代わろうとしていても、マコという人格を捨てきれない、浅はかで中途半端な僕にとっては。



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