青い桜

ワカナツ

青い桜

その日僕は

青い桜と出会った


僕はその日の放課後、美術の課題を提出しに美術室に行った

美術室の扉を開けたとき

それが僕と彼女

青い桜を描く少女との出合いだった


彼女は広い美術室で1人絵を描いていた

青い桜の絵を

その絵を見た瞬間僕はその絵から目が離せなくなった

青い桜はとても鮮やかでけれどどこか寂しげで

言葉では表せない魅力が全身に伝わってきた

僕はかなり長い時間その絵を見て固まっていたのだろう

その少女が冷淡に

「なにか御用ですか」

と、冷え切った目をしながら言った

僕は慌てて思わず

「君の絵に惚れていた」

と言ってしまった。今思うと死ぬ程恥ずかしい。

その言葉を聞くと少女は顔を赤くして黙りこくっていたので僕は青い桜の感想を本心のままに語った。語るに連れてさらに少女の顔が赤くなっていっていたのを今でも覚えている。この日は、これ以上話せなかったが、次の日から僕は毎日放課後に美術室に行くようになった最初は少女も

「なんで毎日来るのか」

と、聞いて来たが僕が

「君の絵を見たいし、君と話したいから」

と言うと少女は顔を赤くして「そう」と言っていた

だんだん日が経つに連れて段々と会話をしてくれるようになり、仲良くなっていった。また、彼女の名前が「水守」だということを知ったのは美術室に行き始めて10日目のことだった。僕の名前が「赤井」だということもその時に教えた。僕は放課後の美術室で彼女と話してることが何をするよりも楽しかった。けれど、ある日、僕が美術室に行くと彼女は泣いていたんだ。


話を聞くと、彼女は親の転勤が決まったことにより、引っ越すことになったらしい。彼女は泣きながら

「引っ越したら学校も変わっちゃう!もう赤井に会えなくなっちゃう!」

と言っていた僕は必死に

「大丈夫!僕は水守がどこにいたって必ず水守に会いにいく!だから、安心して!」

と言った。彼女は僕と出会うまでは友達も居なかったし、家族ともそこまで仲良くなかったので孤独を感じていたらしい、だか、僕と出会ってから、彼女は孤独ではなくなり、毎日が楽しくなったらしい。だから、僕ともう会えなくなると思い、泣いていたらしい。その日は、二人で長い間話していた。


時は変わって、彼女が引っ越しをする日

僕は彼女と二人で学校の美術室にいた。その日は土曜日だったが、美術室じゃないとダメだと思ったので美術室に彼女を呼んだ。


「好きだ」と言うために


その時のことはよく覚えてる彼女は驚いて、顔を赤くして、泣いて

「よろしくお願いします」

と言いながら抱きついてきた。

僕は一瞬何をされているのかわからなかったが、しばらくした後、僕も彼女を抱きしめた。その時、僕は心に決めた。


絶対に彼女を幸せにすると


青い桜を描く少女は今じゃ僕の隣でいつも笑ってくれる大切な人だ

とても大切な人だ


今も青い桜は満開だ

けれど今じゃ寂しげな様子はどこにもなく

鮮やかに優しく咲いている


咲いている




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青い桜 ワカナツ @wakanatsu

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