KAC20235 筋肉をつけたい!
maris
第1話
あ~、どうしてこんな事に
なっちゃったんだろう?
ぼくの人生は狂わされてしまった。
それは、
夜空に星が煌めいていたあの日
お腹が空いたぼくは、
目の前に大好物のエサが
浮いていたのを見つけ
カプリと口に入れた。
同時にチクりと痛みが走った。
すると、突然
ぼくの身体がフワリと浮かんで
空を飛んだんだ、トビウオさんでも
ないのに。
気づいた時には、
また水の中にいた。
それから、今度は別の所に
引っ越した。
それが今いる所。
そこはとても寂しいところで
あれほど沢山いたお友達の
姿も見えない所だった。
でもお腹が空いても
エサを捕まえる必要もなく
勝手に降って来るから楽チンだ。
だけど、すごく嫌なのは、
昼間にモンスターが沢山現れること
大きな目や小さな目
沢山の目が
ぼくを見張るように
見てくるんだ、
やんなっちゃうよ。
だって
ぼくは、気が弱いから
注目されるのが大の苦手。
だから放っておいて
欲しいんだ。
今迄ずっとぼくは、ぼくだけの世界で
勝手気ままに
好きなことをして自由に暮らしていたんだ。
それがぼくの性にあってる。
だから
いきなり見せ物のようにされたら
ぼくの神経はズタズタになる
だって
人という名のモンスターの心は見えないから
何を考えているのかわからないし
ぼくのことをどう思っているか
わからなくて不安になる。
なによりも
怖いのが目
みんながぼくのことを見て
笑っているように
思えるんだ。
毎日が憂鬱なんだ。
だから
今ぼくが一番欲しいのは
筋肉。
と言ってもムキムキの身体に
なりたい訳じゃなくて
心の筋肉。
そうして、
最強のサカナになりたいんだ。
そしたら、
意地悪されても
悪口言われても
失恋しても
へっちゃらになるでしょ?
もうなんにも怖いものが
失くなったら
苦しむことも
悲しむこともなく
生きるのが楽になると
思うんだ。
だけど、
それってもしかしたら
何にも感じられなくなるってこと?
それは
生きてるって言えるのかな?
そもそも、心に筋肉なんてあるのかな?
KAC20235 筋肉をつけたい! maris @marimeron
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。