第14話 おいしく食べられてしまいました。

響さんが部屋の鍵をカチャリと音を立てて開けた。


「おいで。」


響さんと恋人繋ぎをしながら、私もその部屋の中に足を踏み入れた。


ベージュの絨毯にモダンなこげ茶色の家具。


大きな窓には白いレースのカーテン。


そして部屋の大部分を占めている大きなダブルベッドに自然と目がいってしまう。


「・・・とりあえずお茶でも飲みましょうか?」


私が備え付けのポットの方へ足を運ぼうとすると、後ろからふわりと抱きしめられた。


「お茶より早く芽衣を食べたい。」


響さんは私をいきなりお姫様抱っこした。


「響さんっ!私、重いですから!」


「大丈夫。俺が鍛えてるの知ってるだろ?」


「それはそうですけど。」


「それに芽衣はダイエット成功したんだし。ま、成功してなくてもこうするつもりだったけど。」


ふかふかのベッドの上に仰向けにそっと降ろされる。


私の顔の真上に、端正な響さんの顔があった。


その目は文香さんをみつめていた時よりももっと熱を帯びていた。


響さんの顔が少しづつ近づいてくる。


そして私の身体を覆いかぶさった響さんが私の唇にそっと触れた。


響さんの唇からは少しだけ煙草の匂いがした。


「芽衣の唇、甘い。」


軽く触れるだけだった口づけは次第に激しくなり、角度を変えながら強く唇を吸われた。


「んっ・・・ふっ」


息が苦しくなり唇を離すと、すぐにまた塞がれてしまう。


これから行われる事を思うと、小刻みに身体が震えた。


「芽衣・・・緊張してる?もしかして・・・初めて?」


「・・・はい。この歳で恥ずかしいです。」


「そっか。でも俺は芽衣の初めての男になれて嬉しい。」


響さんは私の顔を両手で挟み、強く唇を押し付けた。


響さんとの初めてのキス。


それは想像していたよりもっと甘美だった。


これもダイエットに成功したご褒美なのかな。


蕩けそうな気持ちが溢れそうになりながら、私は響さんの動きに合わせて唇を合わせた。


少し肉厚な響さんの唇が激しく私の唇を吸い、そして舌が性急に口の中へ侵入してきた。


こんな食べられちゃうようなキス・・・たまらない。


お互いの舌が絡み合い、離れてはまた求め合う。


私の白いワンピースの背中のジッパーを下ろした響さんは、ワンピースが皺にならないようにハンガーに掛けてくれた。


そして自分の衣服も全部脱ぎ捨て、下着だけになった私を抱きしめた。


響さんの運動で鍛えられた筋肉で固い身体が、私の肌に密着する。


「芽衣のブラジャー、可愛い。こういうレースがひらひらしているの、俺好き。」


そう言って響さんは私の胸の谷間へ顔を埋めた。


「ふわふわしてて気持ちイイ。」


響さんの髭が少しちくちくしてくすぐったい。


「脱がすのもったいないけど。」


そう言いながら、響さんは私のブラジャーを外し、私のFカップの胸を揉みほぐした。


「あっあん・・・」


「想像どおり柔らかい・・・」


響さんは片方の胸を揉みしだきながら、もう片方の胸の乳首に吸いついた。


「あっあっ・・・」


気持ち良くて頭がふわふわする。


私の胸に没頭する響さんに私は聞いた。


「響さんって・・・おっぱい・・・星人ですか?」


「ん。否定はしない。」


「やっぱり。」


私が頬を膨らますと、響さんはクスクス笑った。


「けど、芽衣を好きになったのは、おっぱいが大きいからだけじゃないよ?」


そういいつつも、響さんはいつまでも私の胸ばかりをまさぐっている。


乳輪を丁寧に舐め、そして乳首を吸い、また乳房全体を食べる様に軽く食む。


響さんの言葉は、まったく説得力がない。


「ん・・・オイシイ・・・」


響さんはそう言ってまた私にキスをすると、右手をパンティの中へ入れた。


「ひゃっ・・・」


「こっちも潤ってる。」


するりと私のパンティを脱がした響さんは、私の両足を開かせ、その中心に顔を埋めた。


「あっあっ・・・」


最初は触れるか触れないかくらいに、そして急にその舌を奥深く侵入させる。


「や・・んあ・・・」


くちゅくちゅと音を立てながら、その舌先は入り口の小さな突起を吸った。


「あっ・・・駄目・・・そこ」


「ここが弱いの?」


響さんはそこばかりを集中して口全体を使って攻めた。


「響さんの・・意地悪・・・」


「俺はベッドでは意地悪だから、覚えておいて。」


ぐじゅぐじゅと自分のものが舐められる音が聞こえ、恥ずかしさで顔が赤くなる。


くすぐったさがやがてもどかしさに変わり、それが気持ち良さへと変貌した。


自分の息が荒くなるのを感じる。


「美味しい・・・芽衣の果汁」


「あんっ・・・あっあっ」


十分に蜜が溢れると、響さんは自らの下着を脱ぎ、それを私の入り口に押し当てた。


「なるべく優しくするつもりなんだけど・・・痛かったら言って。」


響さんの・・・大きい。


私は思わず、ごくんと唾を飲みこんだ。


ゆっくりと響さんのそれが押し込まれる。


「きつっ・・・でも中、柔らかい。」


「あっ」


「芽衣。大丈夫?」


響さんが心配そうな顔で私を見た。


「は・・・い。」


「苦しくない?」


「だいじょぶ・・・です。」


「じゃあ、動くよ。」


響さんの腰が動き、徐々にその動きが激しさを増していく。


「あっんんん・・・」


響さんのそれが私の奥深いところを突く。


その度に快感が全身をかけめぐる。


大きな波が寄せてはまた引くような初めての感覚に身を任せていた。


「芽衣・・・気持ちいい?」


「気持ちいい・・・です」


「俺の全部・・・味わって・・・感じて・・・」


「はい・・・・ひっ響さんを・・・感じて・・・ます」


「あっは・・・はあ・・はあ」


「あん・・・あん」


「ねえ、芽衣。そんな顔、俺以外に見せないでね。」


「響さんも私以外の女性を抱かないで下さい。」


「モチロン。・・・俺、もうイキそう・・・」


「あっあっ・・・あっ・・・」





行為が終わり、息を切らしながらも、響さんは私の身体を強く抱きしめたまま離してくれなかった。


「芽衣。」


「はい。」


「もう俺から絶対に逃げないで。」


「はい。逃げません。」


「逃げても捕まえるけど。俺は優秀な刑事だから。」


「じゃあたまには逃げてみようかな?」


私はふざけて響さんの腕を逃れ、背中を向けた。


「駄目。やっぱり許さない。」


そう言って響さんは私の首筋に唇を這わせた。


背中がゾクゾクとして、また響さんが欲しくなってしまう。


「・・・まだ芽衣が足りない。全然足りない。」


「私も・・・もっと響さんを食べたいです。」「「


「じゃあ今度は俺の、食べてみる?」


私と響さんは微笑み合うと、再び唇を合わせきつく抱きしめ合った。



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