筋肉は世界を救う?

黒姫百合

第1話 筋肉は世界を救う?

 筋肉と言われて男子と女子、どっちの筋肉のことを思うだろうか。

 多分ほとんどの人間が男子の筋肉を想像するだろう。

 私も前まではそうだった。

 あの部活に入るまでは。

 その部活のことを知ったのは部活動紹介の時だった。

 女子筋肉部。

 なにそれ?

 それが私の最初の感想だった。

 簡単に説明すると、女の子が美しい筋肉をつけて肉体美を競う部活らしい。

 男子なら分かる。

 女子が筋肉をつけて、その肉体美を競う?

 意味が分からない。

 女子筋肉部の部員は五人と、予想通り少なかった。

 筋肉を鍛える部活だからブスが多いのかと思ったが、意外と言ったら失礼かもしれないが、五人とも可愛い見た目をしていた。

 全員きわどいぐらい露出面積が多い白いビキニを着ている。

 ほとんど裸に近い。

「なにあれ~」

「女子でムキムキってちょっと引くわ~」

 一年生の女の子が女子筋肉部の女子たちを見て鼻で笑っていた。

 ほとんどの人間が鼻で笑ったり、珍獣を見ているような目で見ていたが私は違った。

「……」

 あまりの美しさに目を奪われていた。

 体全体が筋肉で引き締まりつつも、女性らしさを無くしていない曲線美。

 とにかく筋肉だけを付ければ良いというわけではなく、程よく脂肪や丸みも帯びている。

 それに顔と首から下のギャップも凄い。

 彼女たちは部活動の内容を話し、自分の肉体美を見せつけ、終了した。

 運動嫌いな私はもやしのように細かった。

 でも今の説明を聞いて私も筋肉を鍛えたいという思いが芽生えた。

 女の子は程よく脂肪がついて丸みを帯びて、胸が大きいのが女の子らしさだと思っていた。

 でも彼女たちを見て、筋肉女子も凄く女の子らしくて可愛くて格好良かった。

 放課後、私は一人で女子筋肉部の部活へと向かった。

「やっぱり女の子は筋肉よりもスイーツの方が好きですよ」

「この部活も来年で廃止ですかね」

 扉が薄いせいか、中にいる部員の声が漏れている。

 私は一度、ドアの前で深呼吸した後、ドアをノックする。

「私は一年二組の佐藤姫乃と申します。私もみなさんと一緒に筋肉を鍛えてみたいです」

 私はもうこの部活に入部する決意が決まっていた。

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