走り幅跳び
ヤッキムン
ジャンプの筋肉
小4の、ある日の放課後。
担任の可愛い楓先生は
「陸上部に入りたい人いる~?」
って言ってたから
「は~い」
って手をあげた。
「じゃ、あやめっち、今から体操服に着替えて校庭に行ってね」
そう言われて、校庭に行ったら、もうすでに、陸上部希望者、集まってた。
陸上部の先生に
「あっ!あやめっち来たね~!あやめっちは走り幅跳びねっ!」
って、いきなり言われた。
ボクはリレーをやるつもりで陸上部に来たのに
「えーっ?走り幅跳びなの~?」
って思った。
「あやめっち、あっちの砂場で飛ぶんやでー」
って言われたから、砂場に行って飛び始めた。結局だれも来なかったから、ずっと、ひとりで飛んでた。
先生も見にも来ないやないかーっ!
リレーや短距離の人たちも帰りはじめたから、ボクもその日は帰った。
翌日からも、放課後ボクは、ひとりで砂場で飛んでいた。
自分で計測してみたら、3メートル50だった。
フッと教室の方から視線を感じて、自分の4年月組の教室を見てみたら、窓から優奈ちゃん、手を振っている。
ボクは手で
「来て~」
って合図したら、優奈ちゃん、砂場まで、すぐ飛んで来た。
「優奈ちゃん、走り幅跳びボクひとりやねんで~」
「知ってる...ずっと見てたから」
「優奈ちゃん、ここで見といてくれる?」
「ええよ」
優奈ちゃんは砂場の脇に座って、ボクの飛ぶのを見てくれていた。
優奈ちゃん、見てくれてるから気合い入りまくりで
「トリャアー」
って飛んだら、3メートル60行った。
「うおー!記録更新したぞー」
それから毎日、優奈ちゃんに見守られながら、ボクはひとりで砂場で飛んでいた。
「ウォリャー」
って飛んで計測したら、3メートル80行った。
優奈ちゃんといっしょに毎日毎日、飛び続けてたら、ある日、4メートル飛べてしまった。
そしたら先生、やっと砂場に来て
「どや?そろそろジャンプの筋肉ついた頃やろ?」
「ボクのは、だいたい優奈筋」
走り幅跳び ヤッキムン @yakkimn
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