第6話 初めての狩り
ここまで来るのに大変だった。慣れないゲームをして情報は皆無で、それでも特殊な任務を熟さなければならない。依頼主を探すのに四苦八苦したがやっと見つけた。
そうハザードが依頼主だった。そしてヘカレスはエージェントだろう。
REOに入って遠回りもしたが、無事に依頼主に会い任務は順調に進んでいる。
PKギルトと言ったが、プレイヤーを殺す集団ということで当たっていると思う。プレイヤーを殺せは赤ネームになり、賞金首になれば死ぬまで赤ネームだ。なのにハザードは何故に青ネームなのだろうか?
それは依頼主だからだろう。
沢山のエージェントに指示を出し作戦を実行させる。ここではギルドマスターと呼ぶらしいな。
「それで何をすればいいの?」
「普段は自由行動だ。だが僕達はPKKギルドである
PKKとは何か素早く右上の?マークを押してヘルプに頼る。するとPlayer Killer Killerということが分かった。PKを退治するのがPKKということみたいだ。
それにしてもヘルプの精度が凄い。プレイヤーの行動や会話からAIが必要となるヘルプを導き出してくれるらしいのだが――ヘルプに頼り切っている――これのお陰でここまで来れたようなものだ。
そして任務の内容は、PKKギルドの鯤の宴に所属するメンバーを倒せば良いということらしい。
その任務を熟すには、もっと強くならなければならない。
装備も揃っていないし、そもそもレベルも低い。
ふと、あることを思い出す。もしフルダイブ中にスマホが鳴ったらどうしよう。これは一大事だ聞いてみよう。
「フルダイブ中にスマホが鳴ったらどうしてる? 大切な連絡があるの」
とちょっと焦り気味で尋ねてみる。
ゲームを長時間プレイし続けてしまった。その間にイタマールから連絡があったらどうしよう。
「VR機器にドッキングできるよ。そうすればこの世界でスマホが使える」
「ちょっと、ドッキングしてくるよ」
と言うとシステムからログアウトをタップするとカウントダウンが始まる。
一瞬だった。気が付くとベッドに仰向けになり天井を見ていた。
起き上がると違和感がする。気が付くと右上の?を探してしまうが、この世界にはない機能だ。
そして机に置かれたスマホを手に取り確認するが、メールも不在着信もない。
肩の力が抜けて、椅子に腰かけると天井を見上げた。
机に置いた水を飲み、パンを齧りながらVR機器の取扱説明書を手に取る。
するとケーブルが付属されており、それでスマホとドッキングができるようだ。
時間は19時。まだプレイできるな。
…………
「お帰り」
「ただいま、ドッキングできたと思う」
と言ってスマホをタップすると、目の前に画面が現れ、普段と同じように操作が可能だ。しかもアプリまで動かせるのは助かる。
「ガブリエラはレベルが低いから、狩りでも行こうか?」
REOに入って早々PKばかりだったから、ゲームを熟せないと思っていた。同時に任務も放棄しないとならないと思っていたから、肩の力が抜けていく。
するとハザードは本を開き、青いポータルが出現する。
ポータルの中に入ると砂漠が広がっていて、その奥にはオアシスがあり、色々な生物が集まっている。
「タラチュラを狩るよ。上半身が人間で下半身が蜘蛛のモンスターだ。ヘッドショットも狙える相手だから、ガブリエラ向きだね」
目の前には7体ほどの群れを成したタラチュラが居る。
やっとファンタジーらしくなってきたことに心音飛び跳ね、200bpmをぶっちぎりそうだ。そしてライフルを構えてスコープを覗く。
「パーティーを組むとボーナスが発生するからね」
この表示されているパスポートによって、パーティーメンバーの状態が確認できるのだろう。タップすれば個別通話もできそうだ。
すると物凄く大きな風斬り音に目を奪われた。それは金色の両手斧を持つヘカレスだった。タラチュラの肉体を斬り裂いて、胴体から別れた上半身が、両手だけで逃げようともがいている。
その顔を踏み潰すと返り血が飛び散って、銀色のフルプレートメイルが血で染まっていく。
早速、うつ伏せになりスコープを覗くと、トリガーに指を置き狙いを定める。
上半身が人だからやり易い。浅い呼吸から息を止め、眉間を狙ってトリガーを引くと、狙撃音が鳴り硝煙が宙を舞う。
《ヘッドショット。ダメージ22、000》
一撃で倒れるタラチュラ。手を叩き口笛を鳴らすハザード。
するとタラチュラがどんどん集まってくる。
「魔法領域解放、ディメンションコード452。焦がせ荒神、紅蓮の業火」
ハザードの両手が炎に包まれ突き出すと、炎の弾を撃ちタラチュラの身体が燃え始める。身体が蝋人形のように溶けだして、大地に倒れるとロウソクの最期のように煙が昇った。
――死の香りがする。
それは人肉か焦げる匂い。死体を数体荒野で燃やした時の匂いと同じだった。
溶けてから燃えるのは火力が強いからだろう。これだけでハザードの腕前が分かる。
だが未知数なのは経験不足からだろう。
もっとREOの知識を得なくてはならないと知った。
そしてヘカレスも強い。タラチュラの群れの中に突っ込んで、その両手斧を振り回し、1撃で肉体を分断するパワー。
30体近く居たタラチュラが全滅してしまった。
レベルは16になり、そろそろスキルも取得していった方が良さそうだ。学ぶことだらけだなと思いながらも口角が上がる。
「そろそろ帰ろう。ポータル出すよ」
とハザードが言うと青色のポータルが出現し、中に入ると先程と同じ建物の中だった。
窓の外を見て思うのは、ここは多分雲よりも高い場所にあるってことだ。どうやったら……その答えはきっと成長したら分かる。
「どうかな僕たちのギルドは?」
「はい、所属します。ただ初心者なので質問が多くなるかもしれませんが」
「それなら、なんでも聞いてよ」
とハザードは言って、黒い大きな本を持っている。書かれているタイトルはギルドブックだ。
《ギルド『咒鬼』に加入しますか?》
Yesをタップすると、名前を見てと言われ名前の下に咒鬼のギルド名が表示された。
これで咒鬼のメンバーになったってことだ。看板を背負っている以上は負けられない。青ネームだろうがPKKだろうが倒すまでだ。そしてハザードが依頼主と分かったことで、胸のつかえが下りる気がした。
――馴れる気はない。けれど慣れることは必要だ。
「助けてくれたお礼だ」
とヘカレスから1冊の本を受け取る。開けて見ると文字が書かれており、赤いボタンと青いボタンがある。
「これはポータルブックと言って、書かれているのは場所の名前だ。赤いボタンを押せば自分だけが転送され、青いボタンを押せばポータルが開く」
どうやらPPKの連中や、ハザードが使っていたのは、このポータルブックのようだな。
これがあれば色々な場所へ瞬時に移動ができる。
「ヘカレス、ありがとう」
と顔を覗き込むが見えない。
これが欲しかったから、ページをめくりバルラの文字を見付ける。
「もしかしてだけど、バルラに飛んだ途端にハチの巣とか?」
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