うっかり女神の転生ミスで、乙女ゲームの悪役令嬢に転生! えっ? 筋力ステータスMAX……の3倍ですが?

帝国妖異対策局

筋肉令嬢

「あっ!? ヤベェ! ついやっちまったゼ!」


 異世界に転生して魔王を倒して欲しい。

 

 そう言われて気軽に「いいよ」と返事をしたのが災いしたのか、転移に失敗した女神ヴァルキリエは悪びれる素振りも見せなかった。


「ちょっと! ちゃんと私は勇者に転生できるんでしょうね?」

「ワリィ……転移先は小国の公爵令嬢だ。なんつーの? サヤカに分かるように言えば、悪役令嬢みたいな感じ?」

「ええっ! それじゃ約束が違うじゃない! 中止よ! 中止!」

「何大丈夫さ、ミスったお詫びにチートをひとつサービスしとくから!」


 そうして異世界に転生した私だったが、女神の与えたステータスに驚愕することになる。


「筋力ステータス99×3……だと……」


 人間のステータスMAXが60の世界で297。私の筋力は尋常じゃなかった。それだけではない。ボディラインこそ細身なのだが脱ぐと超凄かった。体脂肪率5%以下の鋼のような筋肉体。力も半端ない。


「アナスタシア! 君との婚約を破棄する!」


 新たな婚約者のリリアナ嬢(庶民出身)を小脇に抱えた第一王子が、私にビンタしようとしたので、私は思わず上段受けする。


 そしたら、第一王子はリリアナ嬢を小脇に抱えたまま、弾かれた右腕を伸ばしてヘリコプターのプロペラよろしく回転しながら、王宮の外へ飛んで行ってしまった。


 丁度、王宮の上を飛んでいた魔王に第一王子がぶつかり、そのまま魔王は墜落してきた。


 私はと言えば、自分の筋力の凄まじさに慄くあまり、その場で乙女のおよよ座りをしていたのだが、墜落した魔王は丁度私の目の前に落ちてきた。


 傍目から見れば、婚約破棄されて悲しみのあまり崩れ落ちた乙女を、魔王が助け起こそうとしている構図となっている。


 そして――


 魔王は細身で長身、私好みの超イケメンだった。


 ガシッ!


「なっ!?」

 

 彼の人生ごと掴んだ私の腕を魔王は二度と振りほどくことはできなかった。


~ おしまい ~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

うっかり女神の転生ミスで、乙女ゲームの悪役令嬢に転生! えっ? 筋力ステータスMAX……の3倍ですが? 帝国妖異対策局 @teikokuyouitaisakukyoku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ