裏切られた筋肉
龍神雲
裏切られた筋肉
人それぞれ考えがあるように、筋肉の好みも千差万別だ。だが理想を求め、好む筋肉があれど、妄想の産物か夢物語に終わるだろう。しかし俺も美しい彼女も、夢物語ではない特殊な関係を築いていた──アイツが来るまでは
「貴方の
彼女はうっとりとした顔で俺の
「どうすれば私もそうなれるのかしら。今度生まれ変わるのなら、貴方のような
相当好きらしく、その身を捧げてでも本気でなりたいようだ。少し複雑だが、彼女の好み、彼女の全てを愛する俺にとっては、その考えすら愛おしい。なりたいならなればいい。何時でも彼女が傍にいるなら、俺はなんでも構わない。
「だけど、
不意に呟き、彼女の柔らかな手の平が肩に触れる。じきに彼女の吐息が掛かり、それが少しこそばゆい。次第に彼女の美しい顔は不満で歪み、皺を刻んだ。
「どうしてかしら。ハムストリングは美しいのに、
こうして罵られるのはいつものことだ。彼女は罵りながらも傍にいてくれる。だが彼女の視線は外れ、部屋を去った。いつもなら罵りながらも傍にいてくれるというのに──何故?どうして今日はこんなにも早く去るんだ?だがその疑問も、彼女の熱を帯びた声で悟った。
「嗚呼、貴方はどれも完璧ね。これこそ私が求めていた体、私を満たすのは貴方だけ」
隣室から聞こえた甘やかな誘い文句。何が起きたか分からないほど鈍感ではない。
「もう
女心と秋の空──不意に扉が開き、俺の視界に映ったのはゴリラの標本だった。
裏切られた筋肉 龍神雲 @fin7
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