対終末機構の不祥事

ミンイチ

第1話

「ふむ、ではなぜこのようなことになったのかを説明してもらおう」


 海の底の第¿?‽号基地で上司から問い詰められる。


「私がここの部屋の鍵を閉め忘れたからです」


 窓の外にはヒトの形をした石像が様々なポーズをとって水中を浮かんでおり、それぞれが意思を持つように上下左右に動き回っている。


 それらの石像はもとは魚だったものだ。


「地上班からの連絡によると、生物の置き換わりはなんとか水深1,000メートル付近で抑え込めているが、数時間もすれば地上にまで到達するだろう」


 この基地はある特殊変異現象を封じ込めるために作られたものである。


 基地には10人ほどのスタッフが住んでおり、基地もそれなりに広いのだが、今現在はこの二人しか基地に残っていない。


「そもそも、他の人たちの休みを先輩がうまく調整しなかったからシフトがこんなにもおかしくなったんじゃありませんか!」


 おおよそ20日ほど前からそれぞれの職員からこの日に休みたいという連絡が来ており、上司は何も考えずに全員に許可を出してしまったのだ。


「それとこれとは話が違うじゃないか!」


「ちーがーいーまーせーんー!」


 私たちの醜い言い争いは1時間ほど続いて、まだまだ続きそうだったがある通信が言い争いを止めた。


『本部直属緊急時用活動部隊司令部より伝達

 現在、各エリアにおいて平均で20個ほどの封じ込めの失敗が起きている

 至急、各担当の確認、及び封じ込めを実行せよ

 また、先んじて発生していた、第‼¡‽号基地がの管轄のの異常現象で

{同じ日に何人もが休みを申請し、上司が無責任に全員に許可をする}

の影響で全エリアでの人員不足が発生しているため、各担当の確認・封じ込めが完了した者から各地へ応援を送れ』


 私と上司は一瞬顔を見合わせたが、すぐに封じ込め作業を行った。


 作業をしている間に他のところからの応援が来て、なんとか封じ込めが完了した。


 作業中、全員の頭の中は(‼¡‽号基地のやつらめ!!)となっていたのは言うまでもない。

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対終末機構の不祥事 ミンイチ @DoTK

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