第6話 残念スキル

3歳になった。

誕生日とか、今の日付は分からないけど、ステータス画面が年齢の変化を教えてくれる。


「じじ」


「ばば」


なんとか、意味のある言葉が話せるようになっている。

妹のリオも属性が無いので、同じように生まれて処分されたんだろう。


リオも同じように知識はあるけど記憶がないのか、言葉が話せるようになったら、確認しようと思ってる。


話せなくても、目の瞬きとか、赤ちゃん言葉とかで、YES・NOくらいは伝えて貰えるだろう。


リオはすやすやと眠っている。安定して一人歩きが出来るようになったから、レベルを上げたい。


野菜に取りつく小さな害虫を潰してみるけど、レベルは変わらなかった。


なので変化が分かりやすいオートマッピングの解放をしている。

地図を開いて、家の周りの黒い箇所を潰していくと、一筆書きがオタマジャクシの形になった。

黒い箇所を開放してマップを完成させたいと思うのは、人の性なのかもしれない。


将来、地図の黒い点を消すため、意味なくそこに向かったりする自分が想像できる。


家を一周するとおじいさんとおばあさんは、赤いトマトのような野菜畑で、雑草引いたり、虫を除いたりしていた。


野菜・雑草・虫はそれぞれ【野菜】・【草】・【虫】と表示されている。

 

【VR表示がLv2になりました】



視界の右側に半透明の枠が現れ、情報の文字がスキルアップを告げた。


【野菜】・【草】・【虫】だった表示が【トマト】・【トマトだまし】・【カメムシ】に変わっている、更に詳細な説明枠が追加されている。


食べられるかどうかを考えると、【トマト 食べられる】 【トマトだまし 食べられない】と表示が変わる。スキルアップで、欲しい情報が表示されるようになった。


疑問に思っていた【エディット】を調べてみると、


【VR表示に映るスキルをコピーできる】


(スキルってどうして見るんだよ!)


このとき説明枠が疑問に合わせて変わった。


【ステータス画面の属性を調べるとスキルが表示されます】


(おおっ)


おじいさんの属性を見てみると、【土魔法 Lv2】【土耐性 Lv2】【鍬スキル Lv3】とスキルが三つ。このうち土魔法を意識する。


【土魔法をコピーしますか? YES・NO】


画面が開きログが流れる。

思わず「あうう(イエス)」と叫んでしまう。


【土魔法 Lv1をコピーしました】



コピーするとレベル1になってしまうのは残念だけど、たくさんのスキルを集めるの楽しいかもしれない。おじいさんのもう一つの【土耐性 Lv2】をコピーしてみる。


【土耐性 Lv1をコピーしました】

【土魔法 Lv1を削除しました】



(は?)

(はい?)

一つしかコピーできないとか、残念スキルすぎる…

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