成長が遅くても妹のために頑張ります!

なめこ丸

第1話 目醒める

色黒で吊り目の男と色白の耳が尖った女が顔をのぞき込んでいた。


(ここは?)


「ああ、あう、ああ」

話そうとしても言葉が出ない。


首を動かそうとしても、力も入らない。

腕を動かそうとしても、肘が曲がったままで腕も指も動かない。


男が何かをつぶやくと、男の目が光る。

「無属性、外れだ」

そう言って視界から外れていく。


「かしこまりました」

澄んだ声で女が話すと、軽々と持ち上げられ、何かの箱に入れられた。


(無属性?)


箱が閉じられ、光が消えた。


箱の隙間から、微かな光が漏れる。

漏れる光は時折、暗く、明るく変化する。


息は出来るみたいだ。

もう一度声を上げようとして

「あううう」

喉が思うように動かない。


微かな光に映る指は小さく、か弱い。


これは赤ん坊の体だ。


生まれたばかりの赤ん坊が俺?


俺は誰?


箱が持ち上げられる。

「母体が邪魔で、生まれるまで属性が分からないのは困ったものだ、時間がかかり過ぎる、ゴミは捨てておけ」


暫くすると浮遊感の後に水の着水音が聞こえた。


どうやら、海か川に捨てられたみたいだ。

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