詩集:石鹸の匂い

汐崎ひかり

療養

スマートフォンを顔に落として

煌々とした画面がいかに眩しいものだったかを知る

手を動かすのも億劫になりながら

その画面を消したら

目を瞑った時と同じぐらい暗闇に引き戻された


無意識に足先で もう片足のふくらはぎを押したら

じんわりと痺れるように痛くて

まだこの世界から出てはいけないのだと

瞬きをゆっくりしながら

暗闇を見つめた


ぼんやりと現れる

瑠璃色とは言い難い 濁った藍色のその光が

街灯によるものなのか それとも夜が明けてきた証拠なのか

私はじっと

空が明るむのを待っている

空が明るむのを待っている

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