第45話 クリスマス後編
僕とクレアは映画館に向かった。何を見るかは前日からメールで決めていた。
映画館に入ると、壁にはいくつものポスターが置いておる。
「Case Closed!」彼女はあるポスターを見て嬉しそうに言った。
昨日メールでその文字を見て、なんのことかわからなかった。Google翻訳に掛けても、『ケースが閉じました』っと翻訳が出る。意味をよく調べると『一件落着』で、名探偵コナンが出てきた。
「余談だけど、アメリカの有名な司会でコナン・オブライエンって人がに三兆円の要求をしたの」
「三兆円!?」
「ジョークだけどね。自分にそっくりな点を挙げて、日本ではコナンと調べても自分の名前が出ないことを不満に思ったそうよ」
「クレアは頭がいいね」
豆知識というか、知識から関連性から引き出す能力が凄い。でも、名探偵コナンが見たいってのは歳相応なのかな。
「あっ!
探偵かな?心理学者か、メンタリストかもしれない。
「
クレアのコナン愛は計り知れなかった。
僕は映画館の券売機に立ち購入をする。スピーカーから離れてる方が良いよな、あと見やすいように真ん中で……。通路側も好きだが、クレアに聞いてみるか。
「クレア!席は真ん中で大丈夫?」
「うん、2人ならどこでも大丈夫!」
券売機にお金を入れて、チケットを受け取る。クレアが財布からお金を取り出そうとする。
「お金は大丈夫だからね、クレア。いつも、英語を教えてくれてありがとう」
彼女は照れた表情で顔を隠す。
その後、店で飲み物などを買ってシアタールームに入る。
席に座るとあと数分後には映画が始まるだろう。通路側から、1人の女性がやってきた。
彼女は図書委員で同じクラスの二宮さくらさん。そして、彼女は当たり前のように僕の席の隣に座る。
「偶然だね、あきくん!もう、これは運命の赤い糸だね!」
クレアは驚きながら発する。
「なんで、あんたがいるのよ!さては、券売機の時に盗み見したな!」
「映画館ではお静かに」
シー。彼女は人差し指を口の前に出して、静かになるように促す。
たぶん、映画は面白いんだと思う。けど、さくらさんが執拗に手を絡めとるようにする。その上、彼女は映画を見ずに僕を見ている気がする。
「さくらさん、映画を見よ?」
「見てるよ」
それに対抗して、腕を組み引き寄せるクレア。さくらさんも僕の腕を絡め自分の方に引き寄せる。映画には爆発シーンがあるが、僕には彼女たちの心境みたいになっている。
彼女たちの無言の戦いは2時間も続いた。
映画は終わりクレアと飯の場所に着くと。当たり前のようにいるさくらさん。
「なんで、付いていくるのよ!」
「たまたまね、友達が飯を食べてたら一緒に食べるでしょう?」
「私たちはデートなの!」
「あっ、あきくん。この飲み物、美味しいから飲んでみて」
そういってさくらさんは、ストローを僕の口の中に入れる。
「あっきー、私のうどん食べさせてあげる」
二人がいると休める時がない。その後、コナンの映画のなどの感想を言いながら食事を楽しんだ。
「さくらさん、今回はクレアとの予定だったから。ご飯以降は付いてこないでね」
「そーだ!そーだ!あっきーばんばん言っちゃって!これから、あっきーとイルミネーション見るんだから!」
「そっか。じゃあ、私は何もしないね」
案外彼女は素直に引いた。彼女がこんなにもあっさり手を引くなんて思いもしなかった。
食事を済ませて、さくらさんと別れる。
そして、駅近くのイルミネーションを見る。都心なだけに明かりは綺麗に装飾されて綺麗だった。
「あっきーは私と付き合って……」
「あき!よー。元気か?」
頬をかき、恥ずかしそうに立っていたのは、元彼女の先輩だったーー。
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