第41話 もったいない
少しのかけ違い、焦り、待ち、人生は選択だ。
私、高校三年生の
そんな私は受験を甘く見ていた。AOや公募推薦という、面接や志望動機、小論分で受かる勉強以外のところで判断する試験で大学を合格しようとした。
私の周りはAOで受かる人間も数多くおり、一般組と相反していた。
急にあきと別れたのには理由がある。
あきの周りには、彼を好いている人たちが沢山いる。その人らに「別れろ!」とか脅されたとかそんなのではない。逆にそんなことを言われたら、意地でも別れない人間だ。
ただ単純に私がいけるであろう大学の公募推薦で落ちて、私はとても遅い受験勉強を始めた。
落ちたときは立ちくらみ絶望した。この大学すら私は無理なのか。それなら一般受験で頑張るしかない。
日本史の参考書を持ち、本の厚さに絶望していた。真面目ちゃんは、夏休みも勉強しているだろう。これが私の相棒パートナーになるのか、大事にしようと思う。
そこで邪魔……と言うと可愛そうだが、彼氏のあきがいると私はふざけてしまう。用もないにの会い、飯を食べて気兼ねない冗談を言い合いながら談笑する。
「あきと付き合ってもこんなの対等な関係じゃないよね」
半分冗談、半分本当、あきはなぜか知らないけど私に尽くしてくれる。それも、悪くはないけど尽くしすぎるのは良くない。私みたいなクズが調子に乗る。
けじめを付けるためにあきを利用させてもらう。
私は理由も言わず別れた。その理由が自分の勉強をしたいから別れた。心配はして欲しくないし、彼が近くにいると逆に私は駄目になってしまう。
私は白い鉢巻を巻いて気合を入れる。そこに魔が刺すように家のインターホンが鳴り、配達員から郵便物を受け取る。
速達で大きめの四角い袋が届いた。親のかと思ったら、私の名前が書いてある。その袋を開けてみる。
受験番号AA00135 経営学部
私はスマホを取り出して、調べる。すると、数日前に合格発表があるらしく見てみると同じ受験番号が書いてあった。
そこは私が夏休みの終わりに一期にAOで落ちて、少し前に二期で受けたところだ。
何回も受験番号を確認した。日程を間違えてないから、大学の不手際すら疑った。
私は親に報告すると「おめでとう」の言葉をもらい、私は感謝と大学で頑張る意志を言う。これまでの受験料もタダではない、それなりに親の懐にお金をかけた。
その大学は大本命のところだった。私は一度落ちているので、希望はなかったが受かってしまった。受かってしまっただと違和感があるが、本当に良いのだろうか。
数多の大学の面接を受けて、質問内容など忘れてしまった。
私は頭に巻いた鉢巻を外し、決意する。
「よし、遊ぼう!」
しかし、そうすると勉強のために別れたあきはどうする?日本史の参考書が宙を舞う。
あきとはあんな別れ方したのに、やっぱ無し!なんて、有りなのだろうか……。あきは笑いながら許すかもしれない。
いや、許してくれるはずだ。けど、やはり私がいるとあきは駄目人間になる。
自分の言葉で物事を言える人間になってほしい。私もある程度、あきに頼らずお金を稼ぎたいし!いや、人に頼らず私自身でお金をうんと稼ぎたいくらいだ!
私は決意した。お金を稼ぐことに執念を入れることを。しかし、心の片隅に勿体ないという気持ちはあった。
色々と思惑はあり、私は復縁を拒否した。
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