第33話 ハイライトオフ
学校では音楽祭に向けて放課後にクラスごとに合唱練習がある。
「帰っちゃだめ?」
「あきくん。どうしようもない理由がないとダメだよ?バイトとか塾とか」
あいにくバイトはないし塾にも行ってはいない。そして、
最近の僕の放課後は、バイトで貯めたお金はほとんど食費で消えている。
そんな飯の時に図書館委員会の今後の話などをしたりする。
結局は「全てあきに任せた!」と言って他人任せで話が終わる。そんな放課後の日々が習慣化している。
合唱練習をサボったであろう先輩は僕のところに来た。
「お〜い、彼氏〜。飯いくぞー」
僕はそれに反応する。
「彼氏?ああん?
焦った
「
クラスメイトがざわつく。
「
「歌の練習始める?さくらちゃん?」
「歌詞配布しよっか」
「ごめんね、クラスのみんな!用事できた!」
誰も反対せず僕たちはクラスを出る。
行きつけのサイゼリアで僕たちは話す。
「どういうことか説明してください!」
「あー話すとめんどくさいんだが……」
「また、今回も嘘なんでしょ?」
「今回は本当に
僕は経緯を話した。ふゆ姉にゲームに負けて彼女を作れと命令されてこと。その相手が打算的に打ち明けた
「そんなの横暴よ!なんで私と付き合わなかったの?」
「あきは巻き込みたくなかったって言ってたよ」
少し前の理由なら
「さくらさんの行動が少し怖い」
「好きな人の髪の毛くらい嗅ぐでしょ?」
「お、おう……あきも大変だな。あとは若いお二人で……」
現在彼女は逃げようとしている……。
「先輩?私とあきくんの仲をとりもちしましたよね?関係譲ってくれますよね?」
「そ、それはあきによるだろ!な!あき!」
少し沈黙が続く。
「ごめん、さくらさんとは付き合えない」
パチンッ。僕の頬が叩かれる。
その瞬間、ある女の人の面影と二宮さんを照らし合わせてしまう。
嫌な記憶が思い出す。
「ご……」
ご……ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。僕は口には出さず頭の中で復唱する。身体は震えていた。
そこにウェイトレス姿の女性が、店内をコツコツと歩いてきた。
肉を切断するための小さいナイフを持ち、そのナイフを
「私のあーくんになにしてるの?」
そこにはる姉がいた。口元から荒い息を立てて、殺す勢いすらあった。
はる姉の目にはハイライトがなかった。
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