第19話 文化祭準備

 夏休みが明けるとすぐに文化祭がある。そのため文化祭に向けての準備をすることになった。


 僕たち一年生は確定でアミューズになる。二年生と三年生で飲食をやれるが上限がありくじ引きで決まる。


 夏休み中――学校では。


「射的とかどうだ?景品を落としてもらうとか」


「それだと小っちゃい子供が景品取れないだろ。あと銃とかどうする?」


「割り箸鉄砲は?」


「なら、参加賞でうまい棒とか渡せば?」


「リピート客が必要だろ」


 そんな夏休みの中、僕たちのクラスは集まり色々話している。会話よりも僕はバイト疲れで頭がいっぱいだった。


夏樹なつきくん、図書委員の仕事で文化祭のポスター作りの人探さなきゃ」


 そう話しかけてくれるのは、チャームポイントが眼鏡だった二宮さくらさんだ。今は眼鏡を外して裸眼になっている。


「さくらさん、コンタクトにしたの?」


「みんなにそれ聞かれる。内心はどう見られているか怖いし」


 そんな彼女は、どこかビクビクしていた。僕は素直な感想を言う。


「コンタクト似合ってるよ、前は眼鏡で隠れていたけど目大きいね」


「眼鏡をかけるとレンズ影響で目が小さく見られるらしい。てか、そんな目見んといて‥‥‥はずち」


 はずち‥‥‥彼女にとっては少し早い夏休みデビューだろう。まだ、夏休みだけど。


「あき!」


「はる姉どうしたの?」


 クラスメイトがざわつく、外では完璧主義のみんなの憧れ副生徒会長はる姉が登場したからだ。僕は、この空気が嫌いだ。


「いや〜私たち二年のクラスも文化祭に向けて準備があるからたまたま来ただけよ」


「そっか」


「それにしても、まだ文化祭でやること決まってないの?普通は夏休み前に決まるもんじゃないの?」


 クラスメイトからはる姉に対して冷たい視線が感じる。


「あの、あきくん。文化祭のポスーーーー


「ごめん、さくらさん。用事できた」


 僕ははる姉の手を引っ張り、教室から出る。


「ポスターの件‥‥‥」


 そんな声が彼のいない教室に放たれた。







 ある程度教室から離れた場所で僕とはる姉は話す。


「みんながはる姉みたいに完璧じゃないんだよ。それに僕たちは一年だよ」


 僕たちの文化祭の決め事は確かに遅いかもしれない。しかし、二年生の慣れている人には敵わない。


「ごめんね、言いすぎたよ。でも、あーくん、あの名前呼びした女だれ?」


 背中に稲妻が走る。返答を間違えたら、はる姉が何をするかわからない。


「同級生‥‥‥」


「本当に?」


 顔を縦に振るう。本当にただの同級生だ。


「あの子に『可愛い』って感情ない?」


「なくはない‥‥‥」


「はい。有罪ギルティ


 そういって今度は、僕がはる姉に手を引っ張られる。

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