第16話 体育祭
テストも終わり、学校三大行事の体育祭が始める。
「あーくん、全力で応援しに行くよ」
「あっくん、熱中症には気をつけてね」
「ふゆ姉こそ、部屋にこもっていて太陽の光を浴びたら干からびない?」
「失敬な。私は夜はベットで寝て朝までスキップするから!モンスターなんて湧きやしない」
それゲーム内じゃん。
陸上部ということもあり、色別対抗リレーに参加させられた。
足には自信がある‥‥‥それでも、中学から高校に上がり人数も増えた。そうすると自分の自信があったスポーツですら、簡単に抜かされる。
「あき頑張りなさい!」
外面のはる姉に応援される。
「あ〜くん。頑張ったらご褒美のキスしてあげる」
いつも通りのふゆ姉にも応援される。
体育祭の競技は順調に進み、最後の目玉の色別対抗リレーが始まる。学年とクラスを色別したチームで挑む。六つの色の組みがあり。
僕は一応、赤組に所属している。
うちの姉たちは白組だから、僕を応援するのは少しおかしい。あと、男女混合でもあるから運動神経が良いはる姉も走るし。
色別対抗リレーの走る学年順は一年、二年、最後に三年の順番だ。
赤組のトップバッターに自分が走る。
「よーい、スタート!」
その掛け声と共に、先生が持つスクーターピストルの一発の音が会場に鳴り響く。
思いのほか、他の選ばれた白組、黄色組、青組のメンバーが速い。
同時に、応援スペースでは――
「あっくん‥‥‥」
ふゆ姉は暑い中、応援に声を出す。
そんな中、リレー選手待機のはるはそわそわし始めた。そして、周りに生徒がいるのを忘れて。
「あーくん!あーくん!」
他の生徒たちがはるを凝視する。あの完璧な人間の副会長があんな甘えた声を出すとは思わない。
他の声質が似ている他人が出したに違いない。
「あの副会長‥‥‥」
ハッとする、はる。
「あき!頑張りなさい!」
すかさず、いつもの自分に戻す。周りの生徒も幻覚と幻聴を同時に発症したのかと思い熱中症を疑う。
そして試合に集中する。
レースの結果は‥‥‥
「はっきり言って悔しい。なんであいつら陸上部来ないの?うちでトップ目指せるよ」
僕は愚痴をこぼす。
「たまにいるよな、陸上部より足が早い他の部活のやつ。陸上部から走るの奪ったらどうすんの?」
そう言いながら笑う、同級生の陸上部員。
「あきは速い方だけど、ボールを追いかけるのに命かけている奴の方が強いのかもな」
悔しい‥‥‥同学年のバスケやサッカーに足を抜かされる。
来年は負けたくないと心に決めて終わった体育祭だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます