第二章 4月
第6話 図書委員会
今は、
定例会とは委員会のメンバーがそれぞれ集まり、生徒会から割り振られた仕事の内容を話し合う場所だ。
中央委員会とは、その定例会で話し合ったことを別の委員会どうしで共有し話す場所だ。これにより、各委員会との連携を強める。
そんな定例会で三年の先輩はほぼほぼおらず、二年生に至っては一人もいない。
一年の何も知らない、人たちが集まった。
「今日やることは委員長決めなんだけど、三年で参加しているのが私しかおらず、必然的にだが私になることで意義がある人はいる?」
誰も異議が上がらない。当たり前だ。
「二年がいない今、副委員長を一年の中から選ぶのだがやりたいやついるか?」
誰も手を挙げたがらない。普通は三年生か二年生がやるはずなのに、そもそも誰もいないってどういうこと?
困った様子三年の先輩は茶髪の頭をかいて、図書委員の名前リストを見る。
「ふむふむ。
そんな横暴な!はる姉の弟ってだけで決められたくないです。
「それだけ期待されているだろうし、たぶん楽だからいいか」
「心の声が漏れてるぞ」
そう笑いながら茶髪の先輩は言う。
あまりにも突然すぎて、思っていることと言っていることがあべこべになった。
「昼休みに図書室で受付に座り、本の貸し出しとかをするだけでいいんですよね?」
「そんな貸出の受付仕事ないよ。借りたい時は、バーコードで生徒が勝手に借りていくだけだし。やることは、せいぜい返す場所が分からなくなった本を返すだけだよ」
「なんだ、簡単じゃ‥‥‥じゃないですか」
一応先輩ではある。同学年みたいに、軽口では話してはいけないだろう。
「それが今年からは文化祭や音楽祭のポスターや本のPOPの作成、そのPOPに至っては、図書室及び、本の知名度を上げる物というアバウトな物言われた」
そこまでアバウトか?この先輩は考えることを放棄してないか?
それから本の返却する人間のローテンションを組んで一回目の定例会は終わった。
定例会も終わり下校の時間になる。
「
そんな
茶髪の先輩が僕の首元を二の腕と脇で掴まれ拘束される。
「こんな定例会なんてないからローテンションなんて組めなかったし、返却作業なんてやりたい人がやる感じだったな」
しみじみ言う先輩だが、察するにこの人返却作業とかしてないな。
「それはよかったですね。それより、この体勢やめてくれませんか?」
側から見ればプロレス技を掛けられているように見える。実際そうだが。
「あき〜?仕事があるからついてこい。委員長命令だ」
そのあと
「許されないよ……許さない……許さない許さない許さない」
そんな独り言が続いた。
連れてこられた図書室は一見綺麗に見えるが一体何をするのだろう。すると、茶髪の先輩は奥の部屋に行き、手で来い来いとジェスチャーで指示をする。
すると、そこには本棚に”返却されるはずだった本”が入った段ボール箱が大量にあった。
「はは、言ったろ?返却作業誰がしているかわからないって」
笑いながら言う先輩に呆れる。
「そもそもしてないじゃないですか!」
そのあと、先輩は「あとは任せた」と言って、先に帰ってしまった。絶望‥‥‥この大量の段ボール一つ一つに本がぎっしり入っている。
しかし、絶望をしていても仕方がないので僕は一人で片付けを始めた。
本のジャンルによって置く場所が違うのでとても大変だ。最初からコツコツとやっていれば‥‥‥しかし文句を言っていても仕方がない。
この辛さをどう表せばいいのか。
子供の頃、料理屋さんで美味しそうな坦々麺の写真を見て注文したのに想像以上に
自分でも、言っていてよくわからない。それくらい、大変な作業である。
「あの〜?
その時、彼女が天使に見えた。後ろの夕方の太陽の光加減で、ちょうど顔が見えなくなり、幻覚を見ているのかと錯覚した。
「
「心配になって、後をついてきちゃった。そしたら、
「ありがとう!本当にありがとう!じゃあ、ダンボールから取り出して最初は本の種類を分けよっか」
一人で寂しくて、辛かったけど彼女がいるならやる気が起きた。
大変な作業が終わりすっかり夜になる、
「一人だと絶対終わらなかった。今日はありがとう」
そして、家に帰宅するとはる姉に定例会の良いところと悪いところを伝えた。そうすれば、はる姉が生徒会長になった時にはより良くなるはずだから。
自分の立場じゃないと、わからない点や思った点を伝えた。
良いところは、定例会でスムーズに進めたこと。悪い点は人の集まりや、仕事の内容のアバウトなどだ。
そして、定例会というシステムがあまり機能してないのか人が集まらなかったことで認知度が足りない点を指摘した。改善案は先生などに言ってもらえるように頼んでもらえば?などを話した。
はる姉は満足するように話を聞く。これちゃんと聞いているのか?
その頃――
「感謝を伝えるの本当に私の方だよ」
‥‥‥さっきまでの殺意が嘘のように引き、今ではあの
「最高だわ、最高!最高!」そんな、彼女の高らかな声は閑静な住宅街に響いたとか、響いてないとか。
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