あなたに会った日
篠宮玲
あなたに会った日
この日、
時計を見ると時刻は、AM0時を回ったところだった
(少しなら、外に出ても大丈夫だよね…)
普段は、こんな時間に外に出ることなどない菜乃は、この日はドキドキとワクワクが入り交じったような気持ちになっていた
誰かに出会えるような…
そんな予感がしていたのだ
自室をソッと抜け出し、両親に見つからないように、静かに玄関を開け外へ出た
菜乃はフッと空を見上げると、キレイな星空が広がっていた
菜乃は、近くの公園へ行ってみようと思った
公園と言っても、小さなブランコと小さな滑り台、小さな鉄棒があるだけの小さな広場みたいな場所だ
公園へ着き、中へ入ると…
ブランコに誰かが座っているようだった
彼?は下を向いているようで、表情は分からなかった
「こ、こんばんは…」
菜乃が恐る恐る話しかけると
多分…菜乃と同じ位の年齢だと思われる青年が
顔を上げ
「こんばんは…」
と返してくれた
「あの、あなたはいつもここにいるの?」
菜乃が問いかけると
「…たまに、1人になりたい時に来る…」
と彼は答えた
「君はなんで、こんな時間に一人でいるの?」
今度は、彼が菜乃に問いかけた
「今日は、なんとなく…」
そう答えると
「そっか…オレも今日は、なんとなく…。君も座れば?」
と、隣のブランコを見ながら彼が言った
「…じゃあ…失礼します…」
と菜乃もブランコに座る
しばらく沈黙が続き…
「じゃあ…そろそろ、オレ行くね。」
と彼が立ち上がった
「今日は…ここに来て良かった。キミに会えたから」
と彼が菜乃を振り返りながら言った
「あの!待って!」
と、菜乃も立ち上がった
すると彼は、
「また会えるよ。キミも気を付けて。」
そう言い、帰って行った
その後、菜乃は不思議な気持ちのまま帰宅し、気付くと朝になっていた
昨夜の出来事は、夢だったのかもしれないと…
でも、また「彼」に出会えるような、そんな気がした
あなたに会った日 篠宮玲 @sora-rei
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