勇者戦線〜白黒はっきりしようや、クソ勇者共〜

@waon2910

プロローグ



神の采配とはつくづくクソだなと思う。


どうして俺の人生の終着点を俺自身に決めさせてくれないのか。


どうして権化という名の絶対を強いるのか。


今の俺の頭と心はそんな事で満ち溢れていた。


とどのつまり、何が言いたいのかというと、だ。



「俺は【転生】なんて望んでねぇ。潔く、地獄か天国へと連れていけよ」



モヤと霧が埋め尽くす空間に白いテーブルと椅子だけが設置されている。

そこに腰掛けている俺の目の前には異常としか言い様のない巨大な何かが鎮座していて、でもそれが大体何なんのかは想像の範疇だ。


多分、いや確実に俺は死んだんだろう。


あまりに唐突ではあったが、人生に一般の悔いなし。


まさにこんな気持ちだったからこそ、怒りの矛先は一点に集中していた。

異常で、巨大で、圧倒的な存在の彼に。



『先程も言ったが、主には転生をしてもらう。これはお願いではない、命令だ』



さっきからコレしか言わない。


機械的な声音でも、言い回しでもない。

だが、一方的な言い分をはい、そうですかと納得出来るほど俺は人間が出来ていない。


おかしいと思う事には物申す。それが俺の性分だからな。



「じゃあ聞くが、なぜ俺に拘る?正統な理由を聞かせろ」


『主から純粋な正義を感じる。』


「理由になってねぇ。神様か仏様か何か知らないが、そんな安っぽい理由じゃ話にもならねぇぞ」


『神様だって分かっててその態度、君、中々いいねぇ』



一対一の対面で会話をしていたはずが、気付けば異なる声が背後から介入してきた。


残念ながら、その容姿を今は確認出来ない。


何故なら、身体の動きに制限があるからだ。


五感は上手く働いている。だが、四肢は見えない鎖のような物で拘束されているようで、自分の意思に反して全く動かない。



『我らが審議の神である方の真言を無碍に出来る君、御厨 総司(みくりやそうじ)。生い立ちから死に様まで見させてもらったよ?君は絶対に転生すべき、いや転生してもらうよ』


「は?人の事名指しするわりにテメェのことを話さない野郎に、命令される言われはねぇ」


「ハハハ、それもそうだね。なら自己紹介と行こうじゃないか」



声も話し方も中性的。どこか幼さを感じる声だからか、余計に腑が刺激される。


そして、その姿を見た時、さらに怒りのボルテージが上がるのを感じた。



『初めまして。神々にお仕えする使者の一人、アズリューリュと申します。以後、お見知りおきを。』



視界に入ったのは、幼さの残るという表現を全撤回したくなる程の子供だった。


残るではなく、幼稚園児と遜色無い身形をしている。


そんな奴に上から物を言われると無性に腹が立つ。



『うんうん。何を言いたいかは想像がつくけど、私はこれでもそれなりに優秀な使者なんだ。君達、人間ごときの浅はかな考えを押し付けないでもらえると助かるなぁ』


「いや。正直、ガッカリした。そう思っただけだ」


『ほぉ。聞こうじゃないか、時間は無限にあるのだから』




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