[詩] 診察

汐崎ひかり

診察

君の忠告をうまく掬い取ることが出来なくて

謝ることもできずに 目の前の枝毛を撫でた


トイレの液体石鹸はやわらかく

ぬるま湯で流すとお医者さんの匂いがした

私にとって必要な言葉を ひたすらにくれて

節々に大事な事を挟む

あの人の気持ちをすくうことが出来なかった私にとって

とても繊細なことなのに

期待や過大評価とは別ものの眼差しが

それを逃さないことを意味していた


だから

起きたことを 必死に言葉ですくいとって


薄明の空に包まれた

些細な枝毛を ひたすらにちぎった

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[詩] 診察 汐崎ひかり @serori_c

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