この冒険者、訳あって『破壊神』やってます。
強炭酸水
第1話 転生と新生
朝。いつもと変わらない朝。
「戒斗~?起きてる~??朝ごはんできてるよ~~」
母の作った朝食を食べ学校へ向かう朝。
いつもと変わらない学校の時間。
「戒斗~、昨日の転生クッキングみた??」
ダチの賢也と何気無い会話をする学校の時間。
いつもと違ったのは帰り道。
横断歩道を渡っている途中、突如意識が朦朧とした。
ぐっ…何だ…これ……?!
「おい!戒斗、なに横断歩道のど真ん中でつったてんだよ!!」
賢也の声。もう遅かった。目の前に映るのはやたらと大きなトラック。刹那、やたらと青い空に切り替わった。
「かいとぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!」
俺は撥ねられた。
「おい!かいと!!おい!!!おい!!!!おい!!!!!」
段々と遠くなる賢也の声。
あぁ…俺…死ぬんだな…こんなにあっさり…
俺は自分の脆さ、人間の脆さに気づく間を与えられる余地も無く意識を失った。
***
「ぉぉーい」
「ぉぉおーい」
「おおおおーい」
段々と大きくなっていく声で、俺は目を覚ました。
何処だここは。周りは暗く、目の前には今にも引き込まれるような、優しい、でも幼い顔をした少女が座っている。
「あのー、俺は助かったのでしょうか??」
俺が問うと彼女は二カーッと笑いながら
「いいえ!死にました!!」
と言った。
「ですよね…ははは……」
やっぱり俺は死んでいた。
でも、ここにいる。死んだはずなのにここにいる。これはもしや…、異世界転生の流れなのでは?!
「あの…俺はこれからどうなるのでしょうか…?」
「ん~そうだなぁ~、貴方の住んでた世界風に言うと、『異世界転生』って奴??をしてもらうよ!」
「ま…まじか…やったぁ!!!」
異世界転生を密かに夢見ていた俺からしたら万々歳だ。
死んでよかったって事もあるんだなぁ…としみじみ思うよ。
「では、貴方を異世界に送る前にちょっとして説明をするね!!」
彼女は楽しそうに説明を始める。
待ってました…!!こういうの、待ってました…!!!
「これから貴方が行く世界はね、冒険者になってお金を稼ぐも良し、勇者になってちやほやされるのも良し、職には就かずに平和に暮らすも良しの自由な世界だよ!!いいでしょ!」
キターーーッッッ!!!まるでドラ○エのような世界!!俺の望んでた世界!!世界ガチャ神引きだコレ!!!
「お、俺!!冒険者になって、パーティ組んで、いろんなダンジョンとかに挑戦して、魔物と戦うのが夢で…」
「もちろん、OKだよ。たくさん楽しんでね!!では、異世界へーっ!!レッツゴー!!!」
目の前に異世界への扉が現れた。
え、もう出発ですか??ちょっと心の準備が…いや、行くぞ!!!!
俺はノリノリで
「レッツゴー!!!!!!!!!!!」
と叫んだ。
いざ!!!異世界へ!!!
しかし、異世界への扉を開こうとした時、
「あ!!ちょっと待って!!」
少女が慌てて俺にこう告げた。
「おめでとうございま~~す!!貴方は『破壊神』に選ばれました~~~!!」
「あの…どういう事ですか??」
「貴方がこれから行く世界ではね、4人の神がそれぞれの力を使って世界を均衡に保っていたの。でも、先日、4人の神の中の1人の破壊神が死んでしまった。だから、貴方が新しい破壊神って訳。」
いやいやいや、意味がわからない。
え??破壊神??俺が???冒険者は????
「なんで俺が破壊神なんですか??」
「んー…それは上からの指示だから私には分からない。」
わからないのかよっ!!てか上ってなに?!
「破壊神には世界の平和を脅かすものを破壊するという仕事があるんだ。だから…貴方が楽しみにしてた冒険者にはなれないかも。でも、喜んで、破壊神になれるなんてもっとすごい事だから!!」
色々なことがこの短時間で起こりすぎていて頭がパンクしそうだ。
でも…、冒険者を諦める訳にはいかない。
なにが破壊神だ。そんなものに興味はない。俺は!!冒険者になって!!!お金を稼いで!!!パーティには可愛い女の子を招き入れて!!!たくさんの魔物と戦って!!!それが夢なのに!!!!
「あの…俺はどうしても破壊神ならないといけないんですかね…??」
「上からの指示だからね…。逆らうと異世界転生すら無しにされちゃうよ。」
彼女は不遜に笑う。
だから上ってなんなんだよ…。
俺は破壊神になるしかないのか…?!
いや…待てよ…破壊神をやりながら冒険者になればいいだけの話じゃないか。
「だったら俺は『破壊神』兼『冒険者』として生きていきます!!」
「え~っ?!破壊神の仕事は大変だよ~~??ま、貴方がそれで良いならいいんじゃない?」
「じゃ、常葉 戒斗さん、今度こそほんとに異世界へレッツゴー!!!」
こんな感じで俺は、『破壊神』となってしまった。
ここから俺の『破壊神』兼『冒険者』生活がはじまる。
まずは仲間探しからかな。
………そういえば、あの少女の名前、聞いてなかったな。
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