【オシゴトNo.2】いけないイキモノ ヒロコ先生side

可愛い・・・


カメ可愛い・・・


とうふ先生と一緒にバケツを覗き込む。

とうふ先生、顔近いよ…臭ってないかな、恥ずかしい…


このカメが2組のタカヒロくんの指を食いちぎった犯人だって?

そんなの信じられないくらい、愛くるしい目をしているわ。

だって、あこがれのあの『かめるん』に似ているんだもの。

好きなのは、『かめるん』の中の人だけど。


「可愛いねー。本当にいけないの?」


何気なく聞いてみる。


「本当に、いけません」


とうふ先生は、ズバッと切ってくる。


「そっか、ざんねーん」


口をとがらせて可愛く残念がってみる。


「いけないイキモノなんです」


とうふ先生の、その言い方は、ちょっと・・・


このカメをアパートで飼うってなったら、ちょっと大変そうだけど、

一緒に居られるなら、毎日、幸せな気分で「かめるん、行ってきます!」って言えるかも。


とうふ先生いわく、ミドリガメは外来種だから、自然に返したらだめなんだって。博識だなあ。


何度かのやりとりの後、用務員さんが来て、市役所のことを教えてくれたよ。

そして、ミドリガメは去っていってしまったの。


さようなら、かめるん。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る