Day 9-10

9月17日 日曜日


今日、私と藝翔は遅番で、木曜日に職場へ復帰した後、

藝翔は私が落ち込んでいるのを気にかけて、金曜日の仕事前に標本展に行くことを提案してくれた。


このとき、私は二つ返事でOKした。



標本展は市の中心部の博物館で開催され、

展示スペースでは剥製にされた野生動物が数多く展示されていた。

私は動物が好きだが、虎や鹿の標本の大きく開いた目を見ると、

まだ生きているように見えて、何とも言えない不気味さと憂鬱さが感じられた。


「標本は美しさを保存できて、醜さは忘れ去られるんだ」


藝翔がそう言ったが、死んだものを美しいと言うのだろうか?



展示スペースの隅には、水滸伝の名場面「武松の虎退治」を描いた背景画が展示されいた。

すぐその場を離れたい気分になった。


藝翔がその絵に気づいたあと、

画家の詹定文ジャンディンウェンのもと、絵を学んだことを滔滔と教えてくれた。


私は元々藝翔にその画家と自分の関係を教えたくなかった。


標本のように、醜さは忘れ去られるかもしれないから、

自分の恐怖と立ち向かわなければいけなかった。


「詹定文は私の父なの」


びっくりしたのか、他の理由なのかわからなかったが、

彼はしばらく黙ってから、元に戻った。


その後私たちも標本展を歩き回り、動物の剥製を見て、

思わず葬儀で

父を悼む人たちの顔を思い浮かべた。


参列者は、たとえ遺体がどれほど汚れているかを知らなくても

目の前の美しさに賛辞を送った。


私が死んだら、そんな風に扱われるのだろうか?


藝翔の事をもっと書きたいが、

今日は気分がよくないから、このへんにしておこう。


カサブランカが今日芽を出した。明日はいい日になるだろう。

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