第捌話 店主との出会い

 目を開けると真っ暗だった。

 俺は暗闇がそれなりに好きだ。

 ただ、ずっと見ていると飽きるため、暇つぶしに目を閉じる。

 すると、いつも眠ってしまう。



「起きなさい」


 む。

 どうやら話が進んだらしい。

 ここは、人の話し声が遠慮なしに出せる場所。

 酒場のようだ。


「君は……」


 女装した男性と目が合うと、そのまま持ち去られてしまった。



「悪かった」


 男性の家に着くと、何故か急に謝られた。


「君を拾った場所は、光が無い区画だから」


 状況を説明しながら、世話をされている俺。

 最初にご飯のようだ。

 お粥みたいなやつ。


「酒場まで行かないと、君の瞳が見れなかった」


 モグモグ食べながら話を聞く。

 この人はどうやら口下手なようだ。


「魂は見れたから、確信が欲しくて煩い場所に行った。…………耳、平気?」


 世話焼きなのか意外と優しく耳を撫でるな、この人。


「ん。よし。次は身体を清潔に」


 そう言って、お湯洗いされる。

 時代が現代とは違い、少し昔のような感じだな。


「……女の子」


 秘部はどうやら魔法で済ますみたいだ。

 異性だからか?


「湯冷めしないうちに、寝て」


 わからないことだらけで、眠れないんだが。

 まぁ、喋れるようになったらわかるだろう。





「寝た……かな」


 この子との出会いは偶然か必然か。

 職場の帰り道で拾ったのだ。

 魂を見て、一瞬で清らかな子と分かり、早歩きで酒場まで行ったものだ。

 少し強引に目を覚まさせれば、『女神の愛し子』の証であるオッドアイが。

 またそこから急いで離れ、住処に帰ってきた。

 まさか女の子とは思わなかったけど。


「そろそろ……だっけ」


 五大王種族が一箇所に集まって、世界の方針を定める会議。

 今年は龍皇国が開催場所だから、少し遠かったり。

 まぁ、僕にはあまり関係ない。


「名前……決めないと」


 それよりも、彼女に嫌われないよう名前を考えないと。

 決めさせるのもありかも?

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