巻き戻し少女
望月ナナコ
第1話
昼間彼女と喧嘩してしまい、なかなか寝付けなくて深夜なんとなく気晴らしに散歩に出かけることにした。
なんであんな事を言ってしまったんだろう・・・すぐに謝れば良かった・・・いや、今からでも遅くはないか・・・。
スマホを見ると午前二時を過ぎていた
。流石に彼女ももう寝ているだろうし、今連絡したらますます関係は悪化するだろう。
公園のベンチに腰掛け、ふと砂場の方を見ると小さくて黒いものが動いていた。思わず目を擦った。幻だろうか?そこには髪の長い小さな女の子がしゃがんで何かを探していた。
「君・・・こんな時間にどうしたの?」
俺の声は聞こえていないのか女の子はこちらを見向きもしなかった。
・・・ん?
少し前にキラキラしたものが落ちているのが見えた。拾ってみるとそれはスーパーのおもちゃ売り場でお菓子とセットになって販売しているような子供用の可愛いペンダントだった。
「もしかして探しているのってこれ?」
俺は女の子にそのペンダントを差し出した。
「・・・これ、探してたの。ありがとう!」
女の子はとても嬉しそうに笑ってこう言った。
「何か巻き戻したいものある?」
「へ?」
「何か巻き戻したいものある?」
「巻き戻したいもの。そうだなあ・・・彼女との関係かな。仲直りしたいかなって・・・。」
ってこんな小さな女の子に何言ってんだ。
「じゃあ、巻き戻してあげるね!」
「え、ちょっと待って!」
女の子は俺が考える間もなく立ち上がるとそのまま駆け足で去っていってしまった。
唖然としている俺のスマホが光る。彼女からのLINEだ。
昼間はごめんね。喧嘩するつもりじゃなかったのに。おやすみ。また連絡します。
俺は慌てて彼女に電話し、無事にその場で仲直りする事が出来た。
あの女の子は一体何者だったのだろう?
もし貴方が深夜の公園で女の子を見つけたら、それは大切な何かを巻き戻ししてくれる巻き戻し少女かもしれない。
巻き戻し少女 望月ナナコ @nanako75
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