雪の上を跳んで跳んで

mackey_monkey

足跡

白くてつめたい。


きらきらとしていて、それでいて柔らかい。

鼠色の空をぼうっと見上げながら、視線の横を過ぎては去っていく雪を見ていた。

足元は綺麗な白に塗りつぶされている。


しかし数日も経ってしまえばこの白く美しいクッションも、その凶悪な本性をあらわにして雪に慣れない私たちの歩みを邪魔するのだろう。

そんなくだらないことを考えていると、どこからともなく活気に満ちた明るい声が聞こえてくる。


_小学生だろう。


声の方を向いてみるとカラフルなランドセルを背負った子供たちが、たのしげに誰の足跡もない雪に自分の足跡をつけてははしゃいでいるのが見えた。

そんな光景がなんだか私にはひどく懐かしく感じられた。


そこで何気なく自分の足跡を見てみた。

すると雪が薄くなって、いつもの見慣れたタイルが顔を覗かせている道の真ん中の方から、私の情けない足跡だけがいかにも寂しそうに伸びていることに気が付いた。

あぁ誰かの楽しみを奪ってしまったかな_なんて思って、雪の薄れている方へ向けて足を踏み出した。


ザクリ_。


独特な感触が足の裏から伝わってくる。

踏み出した足をほんの少し持ち上げてその下を見ると、確かに私の靴の跡がそこに刻まれていた。


ザクリ。


私はもう一歩踏み出してみる。

やっぱり独特な感触が足を伝う。


あぁ、楽しい_。


年甲斐もなくそんなことを思う。


サクサク_


私はついつい道を少しずれて、誰の足跡もついていない雪の上を歩いて進んでいく。

足取りも軽く、明らかにはしゃいでいるのが分かる。


大きなこどもが一人、きれいな雪に足跡をつけてはしゃぐ様は人から見たら滑稽だろうか、いやきっとそうだろう。

それでも楽しかった。


_あと少しで冬も終わる。

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