業欲の天体
イルカ巻き
序章 異世界に飛ばされて
プロローグ
誰かが欲した、圧倒的な力を。
誰かが欲した、皆からの称賛を。
誰かが欲した、森羅万象の知見を。
それらは我らを支配しようとする『欲』である。我らはそれに抗い、されど従いながら生きている。そんな、欲が渦巻く摩訶不思議な世界の夢を見た。
とある夏の日の夜中、『
季節は夏だが、この時間にもなると少しばかし涼しく感じる。
とある地方国公立大学への入学が決まり、一人暮らしを始めてから一年と四ヶ月が経っていた。夜道を歩きながら、時間の速さを感じていた。
そして、上を見上げれば、そこには星空が広がっていた。ここが地方だからだろうか、東京に比べて街の明かりが少なく、星空がある程度きれいに見えていた。
星空を眺めながらそんな些細なことを考えていると、一つの星に目が行った。その星は他の星と違って、点滅しているように見えた。
―飛行機か人工衛星の見間違いだろう。
そう思いながら歩けば、次第に眠気を感じてきたので、家に帰り、床に就いた。どうやら、今度はしっかり寝れそうだ。
「目覚めよ。異界の存在たちよ。」
聞き慣れない声とともに目を覚ますと、いつもとは違う見慣れない光景が目の前に広がっていた。
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